第269話 仏性その七十八 我々は仏性である

 「また、大潙にむかひていふべし。一切衆生無仏性はたとひ道得どうてすといふとも、一切仏性無衆生といはず、いはんや一切諸仏無仏性は夢也未見在むやみけんざい(夢にもまたいまだ見ざること在る)なり。試挙看しごかん(試みにげてよ)」

 また大潙(潙山霊祐禅師)に向かって言ってみるべきである。一切衆生無仏性はたとえ言えたとしても、一切仏性無衆生とは言わず、ましてや一切諸仏無仏性は夢にも見ないことである。試みに言ってみよ。

 衆生と仏性は分けて考えるものではないのだから、一切衆生無仏性ならば一切仏性は無衆生と言っても同じだ。諸仏、仏といわれる方々も大宇宙の存在物だから衆生であり、一切諸仏無仏性と言うことができる。

 衆生と仏性を分けてはいけない。そのことを言葉を入れ替えたりしながら強調しておられると考えている。

 我々も仏性なのだ。そのことをはっきりさせなければいけない。我々が仏性であることは坐禅すれば身心で感得することができる。

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