第190話 仏性その三十三 肯定否定

 「三昧六通由茲発現さんまいろくづうゆうじほつげん。しるべし、諸三昧の発現未現、おなじく皆依仏性なり。全六通の由茲不由茲、ともに皆依仏性なり。」

 「三昧六通由茲発現さんまいろくづうゆうじほつげん(坐禅の心境身体の状態六神通がこれにより発現する)」。知らなければいけない。坐禅の心境身体の状態が現れる現れないすべて同じく仏性なのである。六神通が現れるのが仏性に依る依らないすべて仏性なのである。

 坐禅がまずもって不可欠だ。その身心の状態無しに仏教は理解できない。

 「発現未現」「由茲不由茲」のように肯定と否定の言葉を重ねることが正法眼蔵の中にはたくさん出てくる。

 これは言葉を頭の中でこねくり回しても理解することはできない。

 坐禅した身心、澤木興道氏のいう「坐禅の中身」を文字にするとこうなるしかない。現れる現れないとか依る依らないなどという言葉の問題ではない。坐禅した瞬間一切衆生=仏性であることがわかる。身心で感得する。それは言葉にはできない。しかし言葉で伝えなければならない。道元禅師は肯定否定を同時に文字にすることで伝えようとなされた。そう思っている。

 坐禅しましょう。

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