第148話 摩訶般若波羅蜜その十九 虚空

 「天帝釈問具寿善現言、大徳、若菩薩摩訶薩、欲学甚深般若波羅蜜多、当如何学。

天帝釈てんたいしゃく具寿善現ぐじゅぜんげんに問うて言く、「大徳だいとく、若し菩薩摩訶薩、甚深般若波羅蜜多を学せんとおもはば、まさに如何いかんが学すべき。)

 善現答言、憍尸迦、若菩薩摩訶薩、欲学甚深般若波羅蜜多、当如虚空学。

(善現答えて言く、憍尸迦きょうしか、もし菩薩摩訶薩、甚深般若波羅蜜多を学せんとおもはば、まさに虚空こくうの如く学すべし。)」

 帝釈天が具寿善現(須菩提菩薩のことらしい。須菩提は釈尊の十大弟子の1人なんだそうな)に質問して言った。「大徳(僧の尊称)、仏教を一生懸命に学んで甚深な智慧の完成を目指すならどのように学べばいいのでしょうか」

 具寿善現は答えて言った「憍尸迦(帝釈天の名前だそうだ)、仏教を一生懸命に学んで甚深な智慧の完成を目指すならば虚空を学べばよい」

 虚空を学ぶ。私は虚空を精神的、観念的に解釈してはいけないと思っている。単にこの大宇宙、生きているこの世界、空間が虚空だ。

 大宇宙、この世界は様々なものが存在し、様々な様相を示し続けている。その涯のない、膨大な、無限の状態を言葉では言い尽くせない。どうしても表現するならば「虚空」としか言いようがないのだと思う。

 そしてその虚空のありのままの姿が真実・真理なのだ。その真実・真理と一体となった時智慧が現れる。般若波羅蜜多である。

 虚空を学ぶとは何か。この大宇宙の中でぽつねんと坐禅することだ。 

 甚深般若波羅蜜多は坐禅した瞬間の状態だ。坐禅を毎日続けることで甚深般若波羅蜜多も続いていくのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る