第124話 現成公安その二十三 抽象論は要らない

 「このみち、このところ、大にあらず小にあらず、自にあらず他にあらず、さきよりあるにあらず、いま現ずるにあらざるがゆゑにかくのごとくあるなり。」

 今この瞬間の状況、この場所は、大きいとか小さいとか抽象的な表現が当てはまるものではなく、主観と客観を分けている暇など無く、過去からずっと存在しているものではないし、今突然現れたものでもない。このようなことであるから今この瞬間に行動するところに真実・真理が実現・実証されるのである。

 生きるということは瞬間瞬間の積み重ねだ。瞬間瞬間どう行動するかが人間の価値を決める。今この瞬間行動するとき、大きいとか小さいとか考えている暇はない。主観と客観がぶつかり合うところで行動しているのだから、抽象的に主・客を分けている暇などない。今この瞬間行動するときに過去からずっとあるとか、今現れたなどということを考えている暇はない。

 必死に一生懸命無我夢中でこの瞬間を生きる時に真実・真理が実現・実証されるのだ。

 いくら能書きを並べ立てても何にもならない。抽象的な議論をしたければしてよろしいが、抽象論では現実には対処できない。

 必死に一生懸命無我夢中でこの瞬間を生きる。正しく瞬間瞬間行動するためには身心が大宇宙の真実・真理と一体となっている必要がる。この時間違うことはない。直観的に正しい行動ができる。その身心を得るために坐禅しなければいけないのだ。

 

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