第96話 辦道話その八十五 欲望と執着
「しめしていはく、いふがごとし。わがくにの人、いまだ仁智あまねからず、人また
答。言うとおりである。我が国の人間はいまだに人格や智慧が十分ではなく、真実から遠く素直ではない。だからたとえ正しい釈尊直系の法を示したとしても、本来天人が飲む甘く長寿をもたらすという甘露が却って毒になってしまったりする。名誉や利益に近づいていきやすいし、それらに迷い執着することを溶かすことは難しい。そうではあるけれども仏法を実現・実証することは、人間や天上界の人々の世界の智慧によって真実・真理の世界へ船出するということではない。
今の世の中も「名利におもむきやすく、惑執とらけがたし」そのものだ。道元禅師の時代と全く変わらない。変に知識とか情報とか持ってるから余計に質が悪いかもしれない。
世の中で起こっていることを見れば、名誉、名声(人に知られたい)、金銭欲、物欲、地位を欲しがる人間ばかりではないか。それらに憑りつかれ惑乱し、執着し醜い姿をさらけ出して臆面もない。
道元禅師の鎌倉時代より劣化してるかもしれない。
名利、惑執に囚われている限り真実・真理を得ることはできない。人間は大宇宙の真実・真理そのものなのだから、真実・真理は自分自身の中にある。にもかかわらずそれがわからないのは名利、惑執に妨げられているからだ。
どうすればいいか。真実・真理を得たいと願うならば、ただ坐禅すればよい。それが全てだ。
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