第84話 辦道話その七十三 坐禅していたから生きてこれた

 「しばらく、代宗だいそう順宗じゅんそうの帝位にして、万機ばんきいとしげかりし、坐禅弁道して仏祖の大道を会通えづうす。李相国りしょうこく防相国ぼうしょうこく、ともに輔佐ふさの臣位にはむべりて、一天の股肱ここうたりし、坐禅弁道して仏祖の大道だいどうに証入す。ただこれこころざしのありなしによるべし、身の在家出家にかかはらじ。」

 代宗、順宗という唐の皇帝は、国家の政治に忙しかったが坐禅し仏道を学ぶことによって仏祖が示した重要な教えを理解し体得した。李相国、防相国は皇帝の臣下としてその手足となって働いたが、坐禅して仏道を学び仏祖が示した重要な教えを実証し体得した。これはただ志の有無によるものであって、出家在家という身のあり方によるものではなかろう。

 ここは事例を挙げておられる。どういう状態であろうと真実・真理を知りたい、真実・真理を実現・実証したいと願い、坐禅すれば真実・真理と一体となる、体得することができる。

 むしろ重大な激務にあるならば坐禅することによって身心が整い、大宇宙の真実・真理に従った行動がとれる。そう信じている。

 私も非常に厳しい状況に追い込まれることが多々あったけれど、坐禅のおかげで何とかやってこれたという実感がある。

 坐禅すれば奇跡のようなことが起きてことが上手くいくなんてことはない。

 坐禅すれば、現実がありのままに見えてくる。そして坐禅によって大宇宙の真実・真理と一体となった身心には「今やるべきこと」が直観でわかり、行動することができる。それは私が実際に経験している。

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