明日、全てが終わるとして

まる

プロローグ

 始まりには終わりが、幸せには不幸せが有るように、どちらか一方が欠けたらそれは存在することが出来ない。


ディジニーランドが開演した時に、帰りの電車の憂鬱さを考えたりしないし、友達が帰った部屋に、残された後の虚しさを遊んでいる時には考えない。


幸せな時間が続けば続くほど、隣で大きく膨らんでいる正体には気づかないものだ。


追いかけられている日々、私たちはただ追い付かれないように走っていて、歩みを止めて考えるようになったら、それは襲いかかってくる。


私は目立って容姿がいい訳ではなく、大企業に就職している訳でもなかった。


S N Sで一般人の女子が、TikTokやYouTubeで有名になっていくのを何処かで、当て付けかのように妬んで、代わり映えのない日常に、嫌気が差すことばかりだった。


 2019年コロナウイルスの流行で、私の勤める会社はリモートワークになった。


自粛ムードが高まりから家を出る機会が減り、今まで飲み友だった友達とは、外でお酒が飲めなくなると次第にいなくなっていった。


寂しさを埋めるために始めたのがチャットアプリ、ここは女子というだけで、私をお姫様のように扱ってくれた。


1日に来る連絡の数は、自分が有名人になったと錯覚されるほどで、寂しさを埋める為だけで始めたアプリが、一か月も経つと私の一部になっていった。


君との出会いもここからだった。


あの頃の私にとって全部が君だったんだ。

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