数学の時間
柚
数学の時間
木曜日の4時間目。
その時間の授業は数学である。
僕が座る席はあの子の席だ。
座るとあの子の匂いがする。
あの子の匂いに包まれて問題を解く。
まるで一緒に問題を解いているみたいだ。
夏の日も僕はあの子の席に座る。
風が吹き抜けるとどこからともなくあの子がやってくる。
一度やってきてはふっと消えもう一度やってくる。
あの子に気を取られて終わらない問題。
家に帰ったら解けばいいか。
冬の日も僕はあの子の席に座る。
窓はきっちりと閉められ風は来ない。
匂いを肺に入れるたび胸が痛くなる。
息を止めてみる。
生きる作業を再開すると忌まわしい匂いが浸食を開始する。
匂いに気を取られているうちにチャイムが近づく。
5本のチューリップのうち黄色のチューリップを選ぶ確率を求めよ。
数学の時間 柚 @CITRON0724
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます