花言葉

@Nekota219

第1話

久々にクガネに帰った際、ふわっと甘い香りが風と共にのってきた。


「金木犀…?もうそんな時期なんだ…。」


今の住んでる土地には無い、短い間でしか感じられないこの小さな花が私は大好きだ。

なんとも言えない甘い香りがずっとずっと忘れられなくなる不思議な香り。


「一年中咲いてくれたら嬉しいのに~…。」

「そうだ…!いいこと思いついちゃった…!」


クガネのお土産に一枝頂いたものをコルトに家に持って行く事にした。


「ただいま~」

クガネも落ち着くけどやっぱりこの家が何だかんだ一番ホッとする。


『おかえり。クガネはどうだった?』

リビングから顏を覗かせるコルト。


「んー!久しぶりだったけど何も変わらず良い所だったよ~」

「あ、コルト。お土産あるの!」


ジャーン!と一枝の金木犀を渡す。

部屋中にふわっと甘い香りが広がる。


『おお!金木犀だ。甘くて小さな秋って感じがしていいな。早速窓際に活けようか』


秋の溶ける様な夕日にオレンジの金木犀と

甘い香りが溶けていくような感じがした。


『なんだか金木犀って白雪みたいだよな…』とクスっと微笑そう問いかけてくるコルト。


キョトンとしながらコルトを見つめる。


『小さくて甘くて花言葉で言うと"真実"?とか、それっぽいな~って』


自分の好きな花に似ていると言われ思わず

頬が熱くなる。


「そうやってすぐに!恥ずかしい事ばっかり言って!」

頬を赤らめ怒る私を見て微笑みながらも

台所へ戻るコルトの背中を見つめる。


藍と紫と橙が溶け合うような空に目をやる。

私の気持ちもきっとこんな感じなんだろうか…。


なんてぼーっと考えながら、この花言葉は

コルトには言えないな…と

もう一つの金木犀の花言葉を思い出した。



*キンモクセイ(金木犀、巌桂、学名: Osmanthus fragrans var. aurantiacus)は

モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、

モクセイ(ギンモクセイ)の変種。*


花言葉「--」

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