俺はリアルに充実した学園生活を送れる...はず。

@kiryu0125

第1話 俺は高校に入学した...はず

「はぁ・・・早く終われよぉ」


俺は今日から高校生の金本 隆明(かねもと たかあき)。思ってもない事をベラベラ喋る偉そうな大人達の話にうんざりしていたところだ。


「・・・・・・以上で、入学式を終わります。この後各クラスにてHRを行ってください」


クラスでHRが行われるため大勢の人が教室移動を行ってる中、この人混みに対して俺は少しイライラしていた。


「こいつら全員蹴飛ばしてやろうかな」


出来もしない事ばかりを適当に頭に浮かべていたらいつの間にか教室についていた。


「出席取るぞー。赤城。井口。梅田。・・・金本」


「はい」


「・・・渡辺。以上で出欠終わる。次に今後の予定について説明するぞ」


「・・・が、前期の主な日程となる。よし、一通り説明したから今日はもう終わりだ。明日から普通に授業だから遅刻するなよー」


長く感じた入学式や説明は半日で終わり、俺はすぐ身支度を済ませ教室を出ようと席を立った瞬間


「よぉ、金本」


突然後ろから声をかけられ振り向いた。


「何?」


「冷たいなー、俺吉良 龍(きら りゅう)。よろしくな!」


「あぁ、よろしく。それでなんか用?」


「そんな冷たくするなって、今から二人で飯行かね?」


「悪い、今日は疲れたし先帰るわ。じゃぁな」


「ちょ、ちょっと待てって!せめてLINEだけでも交換しようぜ!」


「それくらいなら別にいいけど」


「サンキュー、連絡するわ!また明日な!」


「ん。」


俺は最初吉良に対してはあまり良いイメージを持っていなかった。馴れ馴れしいし、なぜかテンション高いしウザイとまで思っていた。別に友達がいらいないとか、一人が好きとかではない。ただ今はあまり人と関わりたくないだけだ。

しかし、吉良は俺にとって後にかけがえのない親友になるとはこの時まだ知るはずもない。


「帰って寝るか」


「・・・せん。・・・ません。すみません。」


「ん?俺?」


「はい、俺です。」


いきなり後ろから声かけられ、今日はよく後ろから来るなーと思いながら振り向くと、そこには一人の女子高生が立っていた。長くてサラサラの髪の毛。きめ細かい肌。女子なら誰もが羨むであろうスタイル。そして、なぜか寂しげな瞳。そんな彼女に俺は少し見とれてしまった。


「あのー、聞いてますか?」


「あ、あぁ、ごめん。それで何か用か?」


「はい、一つお願いがあって…。私と恋愛しませんか?」


俺の聞き間違いか?この人俺に彼氏になれって言わなかったか?なぜだ?今あったばっかりの人に彼氏なれって。あぁ、そっかこれは罰ゲームかドッキリか何かか。そう思い俺は少し期待したがすぐ我に返った。少し期待したが。


「悪い、タチの悪い罰ゲームに付き合うつもりはない。他当たってくれ。」


「いえ、罰ゲームでもドッキリでもありません。ただ私と恋愛してほしいのです。」


罰ゲームでもドッキリでもない!?待て、ならなんで俺と付き合うんだ?もしかして、これがリア充で噂の一目惚れというやつか!


「あのー、恋愛すると言っても実際私達がお付き合いするというわけではないですよ」


「ですよねぇー、分かっていたよ。うん」


「当たり前じゃないですか、なぜ私が見ず知らずの人といきなりお付き合いしないといけないのですか。普通に考えたらわかる事だと思いますが。そもそも私があなたのような生きる事がめんどくさそうな童貞と付き合うわけないじゃないですか。」


「会って早々すごいボロくそ言うなー、それで付き合わないのなら恋愛ってどーゆー意味?そもそも名前も学年も知らない人にいきなり言われても困るんだけど」


「それは失礼しました。私は今年入学した冬月 冬乃と申します。それであなたに是非私がリア充になるためのお手伝いをして頂きたいのです。」


なぜ、こんな綺麗で可愛い子がそんな事を聞いてくるのか訳が分からない。そもそも俺に頼むのが間違っている。俺にはそこそこ友達はいたが今はいない。

それはおいおい説明するとして、俺は今ぼっちと言っても過言ではないのだ。


「内容は分かった。んで、なんで俺?」


「あー、それはなんとなくです。今日入学式で見かけてなんとなく選びました。本当になんとなくです。」


「3回も言わんでいいわ。まぁいいや。でも、悪いな。俺は別にリア充になりたいわけでもないし、めんどくさそうだからその役は他にあたってくれ。」


と、言い。その場を後にしようとすると…


「待ってください。ぶ、部活は何か入る予定ですか?」


「いや、別に」


「なら、私が作る部活に入ってください」


「嫌だ」


「入って頂ければ胸揉ましてあげますよ?」


「喜んで入部させて頂きます」


「嘘ですよ。変態」


「なら、入らん」


「死んだ目をした童貞ではなく、ただの変態だったんですね」


なんなんだ、こん女は。可愛かったらなんでも許されると思うのか?もういい、この場を早く終わらせて帰ろう。


「もういいだろ、俺は忙しいんだこれ以上用がないなら帰る」


「でしたら、明日またお誘いします。それでは」


「何度来ても同じだぞ」


そうして、彼女と俺は分かれた。

やっと、終わった。入学式の日はろくな事起きないなぁ。俺は今日1日を軽く振り返りながら、家に帰り寝た。


ー次の日ー


「いってきまーす」


「気ぃつけてなぁ」

「友達いっぱい作るんだぞたかあき」


「適当に作るよ」


祖父母見送られ俺は家を後にした。俺は地元の愛知を離れるためにわざわざ茨城の田舎に住む祖父母の家の近くの高校を選んだのだ。


ガラガラ


「今日もいい天気だなー」


日が照り心地よい春風が吹く中俺は家を後にした。

俺は春が好きだ。気温も程よく、この春風がとても気持ちいいがいいのだ。


「おはようございます」


そう、そして家の前にとても可愛い女子高生が俺が家から出てくるのを待ってくれているのだ。


「って、なんでいるんだよ!」


「言ったじゃないですか。明日また誘うと」


「確かに言ったけど、なんで俺の家知っている」


「昨日あの後尾行しました」


「普通にこえーよ」


「すみません、明日からはもう来ません」


「いや、これから毎朝お願いします」


「変態」


「言っとくけど、部活には入らねぇぞ」


「どうしてですか?そんなに私の事嫌いですか?」


「いや、嫌いとかではなくって普通にめんどくさいんだよ」


正直そこまで嫌なわけではない。こんな可愛い子と同じ部活に入れるのなら、願ったり叶ったりだ。しかし、中学の事を思い出すと俺はどうしても部活に入る気にはなれないでいる。


「どうすれば入って頂けますか?」


「そもそも、部活っていってもなにをするんだ?まさかリア充になるために研究するとかじゃないだろ?」


「…違います」


「(本当にその通りだったのか) 入る入らないは別にして、そんな部活学校側が認めてくれないと思うぞ」


「どうしてですか?」


「そもそもリア充になりたいやつの方が少ないし、部員集まらないだろ。それに、偉そうな大人達はそーゆーの一番嫌いだと思うしな」


「では、部活名をいじって内容も少し変えて報告しましょう。それなら、まだ認めて頂けるのではないですか?」


「そーかもしれないけど、そんな嘘すぐバレると思うぞ」


「…そこはなんとかします」


そんな会話していたら、いつの間にか学校についていた。


「それじゃぁな」


「はい、また放課後クラスに伺います」


「いや、入らねぇーぞ」


「それでも行きます。ではまた後で」


学校生活初日は、超絶可愛い人と登校したためクラスでは少し話題になっていた。


「よぉ、お前今日いきなり冬月さんと登校してただろー!

羨ましいなぁ、あんな可愛い子と一緒に登校なんて。

なぁ、どーゆー関係なんだ?」


「あー、吉良か。別になんでもないよ。ただ部活に入らないかと誘われただけ。」


「めっちゃ羨ましいじゃねぇか!てか、俺の名前覚えてたんだな。意外だったわー

それでなんの部活なんだ?」


「さぁ、あいつが部活作るからそれに入ってくれって言われたんだよ。まだ、分からねぇよ」


「まじ!?なら俺も入る!あんな可愛い子と同じ部活なんて幸せじゃねぇか」


「勝手にしてくれ、俺は入らんぞ」


「え、なんで?あの冬月さんに誘われたんだぞ!しかもお前部活入ってないのに」


「だってめんどくさいじゃん。てかさっきから冬月のこと知ってる感じだけど、誰なんだ?」


「そっか、お前他所から来たから知らないのか。この街一番可愛いで有名なんだぞ!わざわざ、東京から告白しに来る人もいるくらいだしな」


「へぇー、確かに可愛いもんな」




「おーい、席つけー。HR始めるぞー」


吉良に話を聞いた今、未だになぜ俺が誘われたのか分からなかった。余所者の俺にこだわる理由。イケメンならまだしも、こんな対してかっこよくもなく、スタイルもいいわけではない俺になぜそこまで固執するのか。その理由を知るのはまだしばらく先だった。

しかし、冬月と吉良この2人との出会いが俺の高校生活をすごく充実したものにするのだった。



















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