第17話

 何で涼花さんは急に姿を消したのか。

 あの日の朝までは普通に今まで通り、楽しく話していたのに。


——あの日の“朝“?


「……ミヤ、一緒に鹿戸まで帰ったのって2週間前の金曜日だよな?」

「うん、……あー、そういうことね」


 2週間前の金曜日、鹿戸の友達の家に泊まるとのことでスタジオ練習の後、俺とミヤは一緒に帰った。確か乗っていたのは、5号車2番ドアの7人掛けシートの進行方向と逆側。涼花さんがいつもと同じ席にいたら、あの時間は混んでて東鷹米まで車内が空くことはないが、間違いなく気付いている。


「……見られてたってことか?」

 明仁が沈黙を破った。

「勘違いしちゃったんだね」

「でも、俺がミヤといたことがどうして涼花さんが俺を避けるきっかけになるんだ?」

「え、きょーちゃん本気で言ってるの?」

「その子、恭介のこと好きだったんだろ」


 朔太郎の呟きが、妙に響いたような気がした。

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