第15話

 涼花さんが姿を消してから1週間。

 毎日のように会っていたから、心にぽっかり穴が空いたようだ。


《海風に乗って 僕は君に会いに行く》


 サビへ差し掛かろうとしたミヤのロングトーンが一拍早く止まり、パン、と手を打った。

「ストップ。きょーちゃん、またリズムズレてる。やり直し」

「おい恭介しっかりしてくれよ〜」

「……申し訳ない」

「この頃ずっとそんなじゃん。何?どうした?」

「……」

 黙りこくる俺に痺れを切らしたミヤがまた手をパン、と打って言った。

「スタジオ代がもったいない。集中しろ。そして全員今日の練習の後、新作のキャラメルラテに付き合え。さ、練習続けるよ!」


《夕陽が僕を呑み込んで また明日へと連れて行く》

《伝えられないこの想い 海風に乗って届けられないかな》

《君の欠片が夕闇に染まって 僕はそれを集めに行くよ》


 冬ライブでやる曲は4曲。カバー3曲オリジナル1曲。

 オリジナル曲「ウミノヒカリ」はミヤ作詞、明仁作曲のラブソングだ。明仁は作曲が凄い。天才だ。


《君への想いと一緒に 夜は眠っていったんだ》

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