次は月にて舞いましょう
伊月 杏
Ep:00 キャスト発表
さて、次のコーナーは『噂に迫る!今日のスター!』
世界的スター、
彼が率いる演劇ユニットが水面下で舞台公演を準備しているとの噂が飛び交っています!かつては天才子役として名を馳せた彼ですが、ついに再始動の時が来たのでしょうか?これまでメンバーの詳細や活動場所すらも不明で、存在が囁かれるのみだったこのユニット。謎に包まれた素顔に迫るべく、我々取材班は県内で舞台制作を手がける芸能関係者に突撃取材を
「くだらねえ」
ブツッとテレビの電源を切って
「よくもまあ飽きねえもんだ」
「どこから漏れたんだろうね」
「まだ漏れちゃいねえさ。奴らお得意の手段だよ。尻尾を掴んでるように見せかけてこちらがボロが出すのを待ってる。実際、話題性で世間の目が惹きつけば自然と情報は出やすくなるからな」
「なあ
「こういうニュースによく出るよね」
「それも殆ど実在しねえよ。匿名性の悪用でしかない」
「透はいつも追っかけられてるよな」
「…七光り、だからな。芸能界を引退したのなんかもう何年も前だってのに、姉貴が話題に登るたび、ついでみてぇに引き合いに出される。慣れてるさ」
「でも実際、みんな気をつけた方がいいのは事実じゃない?
「まあ…でも別に何も出してない」
「いつも通りにしてりゃいい。変わった動きは読まれて目につくからな。どうせ今に表舞台に出る日が来るんだ…それまで闇に潜伏してようぜ」
「はは。悪役みたいだ」
「悪役で結構。俺らは俺らの世界を創って生きる。そうだろ、
「だな。
「それじゃあ、通しやりますかね」
「よっしゃ、
「りょーかい!」
・・・
5人組の小さな演劇ユニット。
僕らは役者でありながら、それぞれ演出家、音響、照明、舞台芸術、脚本家の全ての顔を併せ持つ。限られた人数で創られた小さな舞台が息を吹く。
開演ブザーが鳴り響く時、僕らは一瞬にしてこの世界から存在が消え失せる。そして別の
暗闇から浮かび上がる舞台は
月ほど
月ほど
・・・
1:
世界的スター、松原あかりの弟。ストイックな性格で常に舞台は真剣勝負。あらゆる角度の演劇を観て育ってきた。世界にまだ現れていない舞台を創出することに情熱を注ぐ。
創ることこそ、最大の価値。
演出家、そして役者。
「七光りなんて言わせねえ、俺は俺の世界を創って生きてやる」
2:
絶対音感の持ち主。世界に溢れる音を聞き分け、表現することに長けている。演劇経験は浅いが圧倒的な世界観を作り上げ、観客を取り込むことができる。創る音に対するプライドは非常に高く、人付き合いの壁も高い。
奏でることこそ、最愛の世界。
音響担当、そして役者。
「世界の音は俺の心の中にある」
3:
幼少期に観たミュージカルに憧れ、身体能力を磨き上げた天性の魅力をもつ青年。舞台に身を投じてからは、いつしか舞台から見える光の数々を追い求めるようになった。自分を彩る全ての色と光に魅了された人間。
舞台を彩ることこそ、最高の景色。
照明担当、そして役者。
「この舞台から見える世界は僕らだけの宝物だ」
4:
ありのままでいることしかできない。既存に当てはめる演技はできないが、故に「アテ書きしてやれば途方もないリアリティに沈む」と透は言う。深海のような没入を見せる感情型俳優。才能と危うさを持つ諸刃の剣。
自分らしくあることこそ、最良の選択。
舞台美術、そして役者。
「俺が演じれるのは、遠い世界の俺だけなんだ」
5:
言葉を操ることに長けている。軽やかな性格で演技経験は浅く、未だ舞台の真髄を知らない。観察力の高さと筆致を生かし舞台の脚本を書いている。その世界観は非常に感情的で繊細である。
この手で書いたものこそ、最強の魅力。
脚本家、そして役者。
「いつも頭に浮かぶんだ、違う世界にいる俺らの姿が」
・・・
「さあ、幕を開けようか」
ーーー『次は月にて舞いましょう』は来春公開予定です
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます