第6話 ヤらかしと過去 3
「では、インタビューをさせていただきたいと思います。まずはAkuq選手世界大会優勝と世界MVP獲得おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「日本でeスポーツはまだそこまでの人気はないんですが大会のライブは20万人が見ており、私達取材陣もAkuq選手がACEを取るシーンや1vs5Clutchは本当に興奮しました」
「ありがとうございます」
「では、色々と質問をさせて頂きたいんですがこの、世界大会どうでしたか?」
「日本の大会ではダークホースと言われてそのまま前回の大会優勝チームに勝って世界大会の切符を獲得したんですけど……まぁ、世界大会は初めてのことが多かったです」
「初めての事とは、どんなことですか?」
「日本大会後の激励会?みたいな所でも話したんですけどそもそも海外に行くというのも初めてですし、チームメンバーとオフラインであのゲームをするというのも初めてで全てが貴重な体験でした」
「(ΦωΦ)ホウホウ」
「チームメンバーとは言っちゃあれですけど社長の家で桃鉄とかスマブラとかやった事はあって……今回海外に行くのも高校の修学旅行みたいな雰囲気もあって比較的穏やかな感じで大会に望めたかなと」
「世界大会で印象に残った事とかありましたか?」
「そうですね……オフラインの大会ってこともあって一つ一つのプレーに歓声があって、俺らは言っちゃあれですけど陰キャなんでめちゃくちゃビクビクしながらプレーしてましたね。まぁ、慣れるまでですけど。慣れた後はなにかするたびに歓声が上がるのでめちゃくちゃ気持ち良かったですね」
「私自身ACEや1vs5Clutchは声を上げましたがあの時はチームでどんな会話をしたのか、Akuq選手の心情をお聞かせください」
「そうですね……ACEの時はチームメンバーからAkuqやったれっ!!みたいな感じで俺自身もやったらァァァ!!って感じだったんですけど1vs5Clutchの時ってあのラウンド取られたら1セット相手に先制される所だったのでOvertimeまで持っていくって気持ちで本能でプレーしましたね……。ジャッジで大犯罪キルした時はチームメンバーからも歓声が上がってどうにかラウンド取った時には神様仏様ジャッジ様Akuq様、って感じで社長には叙々様奢ってもらう約束しましたね」
「あの1vs5Clutchからチームに勢いがきてUNが終始リードしてましたね。そして、世界大会優勝を決める最後のキルをAkuq選手がしましたがあの時どうでしたか?」
「そうですね……あと1ラウンド取れば優勝だって考えて甘めにプレーしたら全然ラウンド取られまくったんですけどあの時はうちのリーダーのJadeがクナイ突撃して敵チームの3人持っていったのであと二人をどうにか安全マージンしっかりと引いて甘えずにキルしてって感じですかね。まぁ、キルした瞬間にVICTORYって来てめちゃくちゃ気持ち良かったですね。その後は俺が雄叫びを上げてみんなで抱き合って本当に嬉しかったです」
「Jade選手、Ozu選手、Rutio選手、Tiga選手、Sakura選手、Lskコーチ、そしてMickeyさんと世界大会優勝後どんな会話をしましたか?」
「まぁ、よく勝てたなぁ〜とか世界一かぁ〜とか色々と話しましたけど一番話したのはこれからの事ですよね……」
「大会前、UNの公式から発表がありましたけど本当に競技シーンを引退するんですか?」
「はい。一応今回大会に参加したのもチームメンバーで思い出に残る事をしたいって思いからだったので最高の思い出が出来ました。まぁ、さらに優勝賞金もたくさん貰えて本当に満足です」
「Akuq選手はどうして競技シーンを引退するんでしょうか?ACEや1vs5ClutchとAkuq選手のプレーを見ている限りまだまだ競技シーンでやっていけると思うのですが……」
「まぁ、一番は大会練習に疲れたってことですかね。自分自身大会始まるまではどこまで通用するかも分からなかったですし、世界大会優勝、世界MVPを貰ってこれからたくさんの期待を背負ってプレーしていくとなった時に自分が耐えられないと思うんですよね。あと優勝賞金が思ったよりも多くてやりきった感が凄いです……」
「チームの環境が悪いとかそんなことは一切ないんですね。まぁ、話を聞く限り最高のチームだとは思いますが……」
「ええ。まぁ、Mickeyさんが席だけでもうちに置かないかとか、ストリーマー部門に行かないかとか引き止めてくれたんですけど一応けじめは付けないとと思っての引退ですね。でも、引退といってもこれから知名度をもっと上げるために配信を始めるメンバー達に呼ばれたら出るでしょうし、メンバーと仲が良いので多分これからも話す事は多いと思います」
「引退後はどのようなことをやりたいと考えていますか?」
「そうですね……自分自身まだ若いので普通の会社に就職して社会人をしたり、優勝賞金とこれまでUNに所属してた分の貯金で資格を採ったりとあまり考えてません。ただ、本当にどうにもならなくなった時にはMickeyさんに頭下げてどうにかストリーマー部門に入れてもらえるように頼みます」
「では、また競技シーンでAkuq選手が見られるんですね」
「まぁ、最悪の場合ですし。その頃には競技で活躍できるほどの腕を持ってないと思いますけどね」
「これからのUNどうなると思いますか?」
「まぁ、俺が抜けてもJade、Rutio、tiga、Sakura、Ozuと選手全員強いですしMickeyさんの手腕で強い人を引っ張ってくると思いますからこれからも活躍すると思います」
「(ΦωΦ)ホウホウ」
「そして、日本一を守って世界に行くと思います。俺はメンバーかMickeyさんに頼んでちゃっかりスタッフとして一緒に行きたいですね。まぁ、行ったら行ったでみんなに色々と言われるかもですけど」
「じゃあ私もそれについて行っちゃおっかな」
「あんたは普通に自分の会社に金出してもらってください」
「まぁ、冗談ですけどね……今回はAkuq選手インタビューに答えてくださりありがとうございました」
「こちらこそありがとうこざいました」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
インタビューを見終えた菜璃はじーっとこちらを見つめてはぁ、と息を吐いて話しかけてきた。
「良い人感凄いね」
「これを見て最初の感想がそれですか……」
「いや、まぁ私達昨日色々とありすぎで一気に距離縮まったけどそういえば空愛ってこんな感じだったなぁ〜って」
「一応敬語使えるからね、俺。でもまぁ、なんで俺プロゲーマー辞めたかな。仕事一切決まらないんだけど……」
大学4年生秋。今の時期になると殆どの生徒はインターンを経験したりして就職先が決まっているのが殆どだ。俺自身一応探してはいるのだが貯金の事もありスタートダッシュに失敗していた。
「まぁ、私も決まってないからなぁ〜空愛はインタビューでも言ってる通りストリーマー部門に入れば?」
菜璃はそんな提案を俺にしてくる。
「ストリーマーねぇ……UNってもう自分たちで大会を開催できるくらい知名度もあって人気もあるし俺入れるかな?」
「一応世界MVPだから大丈夫なんじゃない?」
「まぁ、菜璃の事で相談とかしてたし全然話すのが嫌って訳じゃないけどめちゃくちゃ緊張してきたな……」
「うちの家計は貴方に掛かってる!!」
「いや、充分な貯金ありますけどね?ただ、それを使わないのもあれだけど何かあった時の為に残ってたらいいか」
はっきり言って100億円という金額は普通に生活していて使い切ることはあり得ないが未だに現実味が無いのかこのお金のことを空愛は軽く考えている。
「じゃあ私は外に出れる服探してくる」
そう言って彼女はリビングを後にした。
あれ?そういえばなんであの人俺の服普通に着てるの?いや、着るものが無かったんだろうけど。俺服の場所とか言ったっけ?まぁ、酒のせいで記憶が曖昧になってんだろ。Mickeyに電話しよ。電話を掛けるとすぐに繋がった。
『あーこちら空愛。Mickeyおはよ』
『おはよって言うかもう昼なんだが……まぁ、おはよ。どうした?』
『前に軽く話したんだけど就職先が見つからなくてですね……』
『俺に紹介してほしいって訳か……プロに戻る気は?』
『一切ない』
『はぁ、分かった。条件を言わせろ。条件は元世界1位チームで今度開催するUNカップに出ることだ。まぁ、色んなストリーマーさん達がいるせいで炎上とかあるかもだけどそれに出てくれたら2つ就職先紹介してやる』
『マジで?てかUNカップか……俺全然実力プロのままだけど大丈夫?』
『逆にそれがいいんだろ。それのおかげでファンも増えて大会も盛り上がって主催者としてはバンバンザイだ』
『(ΦωΦ)ホウホウ。じゃあ大会の話は了解。俺自身枠立てないけどいいよね?』
『ああ、参加だけが条件だからな』
『了解。ただ、縛りとかあるでしょ?』
『シェリフ縛りだけだ』
『……まぁ、そのほうが盛り上がるか。他チームにはコーチとかプロの選手入るんだよね?』
『ああ。競技シーンは同じ縛りだから安心しろ』
『へぇ……了解。日付教えてもらえる?』
『来週からで明日からスクリム開始』
『……そういえばラストワンチームはシークレットって言ってたけどお前俺呼ぶ気満々だった?』
『白人美少女の店紹介してお前を釣ろうと思ってな』
『……あの、仕事+白人美少女って言うのは』
『お前彼女出来たって昨日散々俺やメンバーに自慢したの忘れたのか?』
『え?……記憶にございません』
『そうかそうか。さぞ、楽しそうに飲んでたなぁ〜空愛くん?』
『陰キャの妬みは辛いわ』
『仕事紹介するだけでも感謝しやがれこのリア充が。まぁ、俺が紹介する仕事ってことで一応考えとけよ?断るのもいいけどどうせなら彼女さんにも仕事紹介してやろうか?』
『マジですか、Mickeyさん。彼女と職場一緒とか夢のようなんですけど』
『おし、じゃあ仕事のことは任せとけ。後で詳細送るわ』
『了解』
そして俺は電話を切る。いや、まさかMickeyがあそこまで良いやつとは思わなかった。まぁ、UN時代も差し入れとか色々と持ってきてくれたけど。てか俺はあいつらに彼女を紹介したのか。記憶が一切ないんだが。スマホの履歴で確認するか。
えーお前ら雑魚とは住む世界が違うんだよ。
あぁ、世界はこんなにも美しかった
いやぁ、マジ彼女様可愛すぎる
などなど……これはヒドイな。写真とか電話はして無いけどヤバいな。俺自身、奴らが今年の世界大会で送ってきた白人美少女の居る店のあれを見たせいで怒りが溜まってたらしい。まぁ、うん。こんな暴言いつもの事だし大丈夫だろ。明日の練習で初手から白人美少女はどうでしたか?って聞けば黙るだろ。いやぁ、俺はなんて優しいんだろうか。後で菜璃に仕事のこと聞いとくか。そして、俺は朝食の皿を片付けた。
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ショタボVtuberがイケボVtuberになってから さくらかるかん @sakurakarukan
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