自殺宣言

作者 44

32

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★★★ Excellent!!!

「じいちゃんな、あと一年で死ぬことにした。きっかし一年だ。来年の7月27日。みんな、準備頼むで」。唐突な祖父の宣言が希崎家を揺らす。かくて剥き出されゆく家族模様のただ中、長男である良一は自分がなにをするべきなのかを日々悩み、もがき、そして真実へ近づいていく。

良一君の奮闘劇を描く物語、その先頭に置かれた1年というタイムリミットが起点として本当によく効いています。祖父が宣言に込めた真意。深く意識していなかった、祖父を嫌う妹・千奈美さんの問題。そしてこれから語られるだろう他の家族の心情。全部が統合して提起される「家族っていったいなんだ?」を浮き彫っていくための。

そして良一君始め登場人物の有り様がすごく自然なのもいいんですよ。関係性の距離感がきちんとあって、だからこそそれを詰めていく緊迫感や、逆に近づきすぎない気遣いを感じられる。こうした“人間”の様が読める作品はなかなかありません。

この人間ドラマがどう締めくくられるのか。ぜひ追いかけていただきたい一作です。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)