答えは問いがないと出てこない

水てっぽう

一限目 空白だらけのカレンダー

今日、いつもと違う、いや起こりうるはずのないことが起こった。

これは遡ること今日の登校中…

「夏休みももう終わって2日、周りは何やらイチャイチャしているカップルが休み前よりも多い気がする、、、」

別に構わない。まず俺は新学期始まって、会話という会話は先生の点呼のときのみにしているから。

周りの登校中の生徒を見ても、、、誰にも見覚えがない。

下足室に着いて、靴を脱いで自分のスリッパを取ろうと下足箱げたばこを開けた。


ポト、何かが俺の足に落ちる

ほんとにこんなことなんてあるんだ。


そして今、昼休み。

チャイムと同時にようやく開封の決心がついてトイレに駆け込んだ。

封筒には裏表うらおもて何も書かれておらず、中身を確認する。

『 二ノ宮 一   

      お前を風紀委員ふうきいいんに命ずる。』

こいつ……俺の、、俺の期待を返せ!

誰だって思うだろ!こんなの。放課後いや昼休みに呼び出されるのが

テンプレじゃないの?

紙を乱雑らんざつにポケットに入れながらトイレを出た、その時だった。

「君、かな?二ノ宮にのみやくんって」

俺の目の前にいた、人物。ショートカットの金髪女子が話しかけてきた。

制服の着こなし方、頭につけたアクセサリー、一つ一つの仕草が俺をある行動に起こさせた。

「はい?間違いないですけど…何か。というかどちら様?」

「はぁ、クラスメイトの顔と名前ぐらい覚えといてよ」

お、頭を抱え始めた。この人。

「まあ、無理もないかー 君とは!喋ったこともないし、

 あ!自己紹介まだだったね。僕の名前は きた 冷夏れいか

「俺の名前は……って俺のことは知ってるよな。さっき名前を呼ばれたし」

「やっぱりねー朝から見てたし。あのときの君ってば…フフ……ハー!思い出しただけで」

「朝から見てた?お前もしかして!?」

「んー?あれは傑作だったよ。|二ノ宮くんの顔。あ、見たい?えーとね」

やばい……スマホを取り出してきた。今すぐやめさせないと、きっと……大変なことになる。

「やめて!やめて。お願いだから!何?なんか用があるから話しかけてきたんだろ?俺忙しいから早く!」

「え?今はそんなことよりも二ノ宮くんのこの顔を…」

ーーーー声にならない声が出る。これはあれだそのー

あまりの動揺に語彙ごいが出てこない。

頑張れ俺!ひとまずここは目立つ。場所を…

「スマホを今すぐしまってくれ。とりあえず、場所を変えないか?」

「えー?やだよ。こんな危ない顔した、知らない人にはついていくなって

教わったしー」

そう言ってスマホをしまわず、俺に近づけてくる。

「先に話しかけてきたのはそっちだろ!俺は!何も!お前に!用はない!」

「僕〜お前じゃなくて冷夏れいかっていうんだけどな〜?二ノ宮くん?」

聞いてない。まるで聞く気がない。挙げ句、自身の一人称を気にしてる。

「はぁ、北さん。悪かっ……何か用ですか?」

「うん!今日の放課後、会議室に来てほしかったんだよ。

 以上!また放課後ー」

北さん、いや北は返答を待たずして、走っていった。

「ちょっと!俺まだ行くとは…」

行かないと言っても意味がないことは分かりきっていた。

この紙のこと、だろうな。きっと。


「それで!話はまとまったのか?」

「え?うん。いい感じにね」

いい感じってなんですか、いい感じって。

放課後、チャイムが鳴るやいなや北が俺をかばんさえ持つ暇なく会議室に連れてきた。

教室を出る時、俺は見たんだ。クラスメイトが俺たちを(多分俺だけ)をいぶしんだ目で見るのを。

ほんと嫌なんだよ、あの目。怖いよ。明らかに俺は被害者だったろ。。。

「大丈夫だよ。みんな二ノ宮くんには興味ないから」

「何笑ってんだ、言うな。優しさを持ってくれ。慈悲じひの心を今すぐ取ってこい」

「そんなことより!本題だよ!君にはこの偉大なる!風紀委員に入ってもらう!」

「はぁ?ちょっとま、、」

「反論と意義、それにNOは受け付けられないよ。それにほら」

一枚の裏返しにされていた紙がめくられ俺の読める位置に置かれた。

「えっと風紀委員長 北 冷夏。副委員長 二ノ宮にのみや はじめ 、、、え?これって役員の」

「そう。僕の補佐。これを二ノ宮くんにはやってもらう。この学校は

委員会は委員長の指名で決定できるんだ〜」

「おい、こんな何をするかも分からん得体えたいの知らない所に、

入るやつがいると思うか?」

「だから〜。二ノ宮くんはもう風紀委員なの。なんで分かんないかなー」

「俺はな!」

コンコン、ドアを叩く音が聞こえた。こんな時に誰だ。の悪い。

「どうぞ〜」

こいつ。。俺に対して政治家とマスコミみたいなノリで来やがって。

「取り敢えず掛けてもらって、お茶を出しますから、ご用件を」

「この委員会ってお願いを聞いてもらえるって本当ですか?」

「少し違うなー。じゃなくて、違います。あくまで依頼を受けて、

それ相応そうおうの依頼費をもらい受けます。無料ではないです」

「それなら…」

「ただし!依頼主が誰なのか。などの君の秘密は誰にも言いません」

風紀委員、という名からは全く想像が俺は出来ていなかった。

俺はお茶を二人の前に出しながら聞いていた。ん?なんで俺がお茶出し?

「そっか、ならー依頼してみようかな?」

北は続けて?と促す。

「私…実はーーー」


「これが風紀委員の仕事、いや活動か」

「うん」

「それにしてもどうして依頼費を取る。って内容があるんだ?」

「それは本当に依頼を必要としている人の依頼を受けるためだよ」

「本当に必要、ねぇ。さっきの依頼もそうなのか?」

「恋は。始めてみたよ僕!いやー青春だねぇ。まぶしかったよ

それに食わず嫌いくんには初めての依頼内容としたらぴったりだった」

「食材は料理するとさらに美味しいって知ってるか?まぁ受けて考えてみるよ」

「オッケー、ならひとまず荷物とってきなよ。今日は行動方針の決定から早速やっていこう!お〜!」

立ち上がり教室に向かった。北はノリが悪いやら何とか言っていた。

依頼内容、俺達の隣のクラス「2−3」の女子が俺たちのクラス「2−2」のとある男子の恋愛事情の調査を依頼してきた。

依頼費は500円。まぁ妥当な?額かな。

無料でやらないのは俺も賛成だ。モチベーションが違うからな。

教室の廊下に着いてドアを少し開いたその時。

するとそこには一組の男女が見えた。

あ、確かあの男は調査対象の「斎藤さいとう てる

俺は急いでドアの隙間から斎藤とその横にいる。

あれは、、、同じクラスの…「中田 愛歌あいか」だったような。

どうする?この盗み見してる姿を誰かに見られでもしたら間違いなく誤解される。

いやまぁ誤解ではないんだけど。

ひとまず北に連絡を……俺、北との連絡手段持ってなかったぁ!?

当たり前だろ!初めて会って何時間だ?

そうだ!これしかない!

勢い良くドアを開けた。

もちろん二人は俺を見る。その後すぐ視線がずれっっない!?

なんで!?もしかして顔に何かついてるとか?

予想外の反応に俺は急いで鞄を持ち上げた。

「待って」

後ろを振り返る。

「何か?」

「少し聞きたいことがあるの」

「聞きたいこと?」

確か中田とは一度も話したことなんてなかったけど。

「そう。あなたこれまでに誰かと付き合ったことがある?」

「ずいぶんと直球だな。そんなの答えると思う?」

「そう?付き合ったことはない、ね。ありがとうもういいわ」

「なんでそうなる。俺何も言ってないだろ」

「だからよ」

プッッあはは!斎藤がいきなり笑い出した。

「そっか、そうだよな。あり得るはずがねぇ。二ノ宮と付き合ってるやつがいるとか」

俺はお前の恋事情を知りたいんだよ。よくあの女子は気になるな。あいつの事を。そうだ!ここで聞けば、、、

「聞こえなかった?もういいって言ったのよ。あなたに」

「\\っ……」



「あ、おかえり〜遅かったね」

「いやちょっと」

「なら明日からのこと、決めよっか」

「うん…」

どんな手を使っても暴いてやる。俺の手で、、、、








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