第4話 聖者

 王宮と王都では、日暮れを前にして火災と混乱は収まった。


しかし、まだ燻る火と煙 焼けた匂いが充満していた。


その王都で神官達が、聖魔法でゾンビ達を浄化し、傷ついた民衆を聖魔法 治癒にて癒して回っていた。


聖魔法には2つの魔法の系統があり、浄化(瘴気と闇、呪魔法を消し去る) 治癒(傷や病を癒す)である。


ゾンビは、王都など人の居住地での討伐は困難を極める。 倒すのは物理的に潰せば討伐できるが。 物理的に倒すにはかなり破壊しなければ動き続ける、その為に腐敗した血肉があちこちに散らばり回収は困難で長く悪臭を放つ。勿論 魔法でも討伐可能なのだが風 水 土では物理と同じで潰す感じになるし、火で燃やすと悪臭が酷い そして光だと、何故か爆発して更なる広範囲に血肉を飛ばす 非常に面倒くさい存在だ。


その為、浄化で綺麗に倒し王都から運びだし荼毘に付す。 勿論、その荼毘の際にもとんでもない悪臭が発生するので王都からかなり離れた場所に荼毘する施設がある。 


神官達は浄化し倒したその腐敗し腐臭を放つゾンビ達に祈りを捧げ丁寧丁重に袋に入れ、王都の外に運ぶ為の荷馬車に運んでいく、その高潔な姿に王都の民は信仰を高めるのだった。



 神官達は、翌日の昼過ぎには全ての作業を終え、神殿に帰る者 そして王都で回収されたゾンビ、そして被害にあって死亡した者の死体を荼毘に付す為の施設に輸送する者に分かれ王都の街中から姿を消した。


神殿に帰りし神官達は、その疲れを感じさせずに神殿に祀られる3柱神の像に跪くと祈りを捧げる。 神官にとっては、人族の生者への奉仕は自己の修行でる、その機会を与えてくれた3柱神に感謝を捧げる。


感謝を終えた神官達は、各自 休養を取る為に自室に戻っていく。 その中で長く感謝を捧げていた 神殿長 オルタは立ち上がると自室に向かうのでは無く、神殿の奥に高位神官しか進めない奥殿に向かう。


静謐と聖なる光に満たされ空間では複数の人影が祈りを捧げていた。


神殿長 オルタは跪くと報告する


「聖者の皆様、王都での活動 つつがなく完了いたしましので報告に上がりました」


人影の一つから


「そうですか、ご苦労さまです オルタ。 では 共に感謝を祈りを捧げましょう」


オルタは聖者達と共に感謝を捧げる。


3柱神に、そして帰還した教祖に


300年前に3柱神の教えを そして神殿を創建した教祖に


高らかに祈りを捧げる


 カタ、 カタ、 カタ カタ カタカタカタカタカタカタカタカタ


歯を鳴らして






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

3回目の召喚でスローライフ 生者を家畜にして、死者と愛を語る  田中 幸樹 @takoyaki1226

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ