ピアノ

@akee

︎︎ ︎︎

友達からピアノを習っているという話を聞きました。

いいなと思いました。

羨ましいと思いました。

私も習ってみたくなりました。

どんどんどんどん習ってみたくなりました。

前にも言ったことはあったけれど、今回は本気になって母にピアノが習いたいと言いました。

母はいいんじゃない?といいました。

私は嬉しく思いました。

はしゃぎました。

憧れのピアニストだとたくさん妄想までしました。

けれどいざピアノを買ってというとダメだと言われました。じゃあ誰か知り合いにピアノをくれる人はいないかと聞いてみて言いました。

けれど母はダメと言いました。

じゃあピアノを習えないじゃないかと私が言うと、教室で練習もしてくればいいと言いました。

そう頼んであげるからそうしなさいと言いました。

でも私はそんなの嫌でした。

どうしてそんなことしなければいけないのかと思いました。

すると、次は父が言いました。

もしピアノがあったとしても近所の迷惑になるから家では弾いてはいけないと言われました。

私はおかしいと思いました。

友達はそんなことしていないのにと思いました。

自分のピアノを持ち、自分の家で教室で習ったことを練習しています。

なのにどうして私はそうしなければならないのかと思いました。

あぁやはりうちは、貧乏な家なのだなと思いました。

お金が無いだけでなく心も貧乏な家だと思いました。

今まで自分の家はどうしてみんなと違うんだと思ったことは何度もありました。

どうして友達の家はできるのに私の家はできないのかとたくさん思いました。

でもうちは、貧乏だからだと。

うちにはお金が無いからだと言われました。

しかし、どうしてこんな家に生まれてきたのでしょう。そう考えたのは初めてでした。

ピアノを習いたいと言った時にダメとでも言われればそこまでは思わなかったでしょう。

いつもの通り貧乏だからうちはできないんだと自分を強引に納得させるだけだったでしょう。

けれども、1度、母は習ってもいいと言いました。

私も1度、みんなと友達と同じようになれた気になりました。

貧乏だからできないとはじめて思わないで済むと思いました。

けれども、結局はうちは貧乏でした。

こんな家に生まれてくるならもっと性格のいい子供なら良かったのにと思いました。

父や母が貧乏ながらに仕事をして私を育ててくれていることは十分に分かっています。

そんな両親にわがままを言うことは可哀想だとも思います。

けれど私はとても自分勝手な人間です。

そう分かっていても、どうしても自分のしたいことがしたいのです。

貧乏なら貧乏らしい性格にならなければいけません。

何がやりたい何がやりたいとわがまま言ってはいけません。

もっと好奇心のない子供に生まれるべきでした。

それならこんなに自分の心の中でぐちゃぐちゃに苦しくなることはなかったでしょう。

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