第78話 探偵ギルド
朝食を終えた俺たちは、パーティーのみんなを連れ立って探偵ギルドへとやってきた。
探偵ギルドは、この街の繁華街である東一番街の裏路地に面した雑居ビルに事務所を構えている。
古びた建物の外観と相まって、事務所の入り口もパッと見は何やら胡散臭い雰囲気が漂っている。
今回、俺たちがここを訪れたのはクエストを受けるためだ。
そもそもこの探偵ギルドについては、この前アナスタシアが行方不明になった時に捜索を依頼しようと思っていたのだった。
結局、あの時はアナスタシアがああいうかたちで見つかったので、ギルドに依頼することはなかったのだが……。
でもその際に、探偵ギルドでもクエストを受注できることを知って面白そうだと思った俺は、今回こうしてやってきたというわけだ。
「すみませ~ん。ボンクエからの紹介で来た者ですが……」
そう言って、事務所のドアを開けたその時――。
「旦那様よ、気をつけるのじゃ!」
えっ!?
エスタの叫び声と同時に、激しい爆裂音が耳をつんざいた。
俺はとっさに身を屈めて防御姿勢を取ったものの、立て続けに爆裂音が鳴り響く。
一体何が起こってるんだ!?
恐る恐る顔を上げてみると、瞬時に武装したクリスティナがごっつい巨大な盾を構えて俺たちを守ってくれている。
こんな時でも彼女は顔色ひとつ変えずに、俺を見てウインクするほどの余裕っぷりだ。さすがは戦を司る女神、神界きっての武闘派だけのことはある。
さらにアルティナへ目をやると、いつの間にか三日月をモチーフにしたどでかい弓を手に取り、爆発の合間に盾から身を乗り出して矢を射かけている。
いつもは悪態ばかりついて小憎らしい顔も、今は凛々しく感じられるほどだ。
エスタもその小さい身体で必死に俺をかばい、そのそばではアナスタシアが剣の柄に手をかけて攻撃の隙を窺っている。
お前ら……。
俺は初めてこいつらのことを頼もしいと思った。それに引き替え、この状況にぶるって何もできない自分が情けなくなってくる。
それはともかく、俺たちは探偵ギルドに来たはずなのにどうしてこんなことに?
何者かによって魔法で激しく攻撃されているようなのだが。
というのも、攻撃が繰り出されるたびに、何やら可愛らしい女の子の声で「汝、灼熱の業火をもって全てを灰燼と化せ、『オシオヤーニ』!」という魔法の詠唱が聞こえてくる。
『オシオヤーニ』って、確か爆発系の攻撃魔法だったよな。
そんなことを考えているうちにようやく攻撃が止んだ。そしてわずかな静寂の後、パチパチパチと拍手する音が聞こえてきた。
「これはじつに素晴らしいわ。特上ね」
何やら艶っぽい女性の声がしたので、俺は盾からそろりと顔を出して窺ってみる。
すると、長身の女性がきわきわなボンテージ衣装を身に纏い立っていた。
そして俺の視線は、その胸の谷間に釘付けになる。
でかい! 細身な身体つきなのに、アンバランスなほどに圧倒的な存在感を誇る大きなおっぱい。
おっと、これはまえのめり案件だ。
「何じゃ旦那様よ、まだ怖気づいておるのか?」
やや前のめりになった俺を見てエスタがそんなことを言ってきた。
そうじゃない、そうじゃないんだエスタ。
だがそんなでか乳より、さらに目を引くのが彼女のその異様な顔面だ。
なぜだか両目を覆うようにして、帯状のレザーハーネスを×印のように交差させて装着している。
着ているボンテージ衣装と相まって、まるでそういうプレイでも専門にしている人のようだ。
これはヤバい奴のいるところに来てしまったと、俺は直感的に思ったのだった。
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【あとがき】
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