鬱がやってきた。

死にたい、と思いながら虚ろな目で天井を見つめる。


気力がない。生きた心地がしない。

切ったばかりの手首が程よく痛む。


こういう時、大抵私は神様を憎んでいる。

こんなに長く続く深い苦しみと闘う私を、上から見下しているだけなのだから。


なぜ、私を創ったのか。


私は何のためにこの世にいるのだろう。

孤独と絶望に押し潰されそうになりながらぎりぎりの命を生きている私は、何のために生まれてきたのだろう。


妙な悔しさを覚える。

生命の誕生は奇跡のはずなのに、せっかく生まれてきた私は日常のほとんどを鬱状態で過ごしている。

こんな人生に価値などある気がしない。


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風が冷たいと思い出す。…何かを。


思い出したいようで、思い出したくない何か。

思い出す寸前に、やめてしまう何か。


たまに考える。

いつか一気に、あの頃の記憶や、感情が蘇る時が来るのだろうか。


孤独、懐かしさ、冷たさ、怒り、絶望、嘘、…


恋も夢も、平凡な生活も、ある程度選ばれた人間にしか叶わないのだと中学生で思った私は、やっぱりふつうじゃないんだと思う。


人間って、なかなか死なないよな。

生きたいと願う人が死に、死にたいと願う人が生きなければならないのは____



嘘で溢れた世界で生きる理由。


神様のためのエンタメなのだろうか。


天国からは、70億の人生が映画のように見えるのだろうか。


…あぁ、だから”Life is a movie”なのかも。





父親がいない事、外国の血が入っている事、

学校に休まず通えない事、すぐお腹が痛くなる事。


苦労したんだ、この事で。

みんなが経験する事だったらよかったのに。


私だけだから、納得いかないんだ。


どうしようもないから、余計に腹が立つんだ。


ただ、私もふつうになりたかっただけなんだ。


傷つきたくなかっただけなんだ。


いつまでも同じ所にいて、同じ事で悩んだり怒ったり絶望したりする自分が、許せないんだ…



冷たい風が、冷たい雨が、私を過去に引き戻す。


でも、そんな冷たい夜に、泣いて、心の中で叫び、手首を切っても、結局朝が来れば、ただ目が腫れて、手首が傷ついているだけだった。



学校に行きたくない。




微妙な緊張感と、少し暴力的な響きを持つ言葉。

雨とくもり、冷たい風。


心地よいと感じる私は、やっぱりふつうじゃないんだと思う。

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私はつらいときに、「話せば少しは楽になる」「無理をするな」「あまり考えすぎないで」「苦しいのはあなただけじゃない」などと言われるのが好きじゃない。


話しても泣いても楽になることはほとんどないし、無理をするの基準がわからないし、考えすぎないようにするから気づかないうちに心の傷は深くなったのだ。

そして、苦しんでいるのが私だけじゃないのはよくわかっている。

私とは比べものにならないくらい最悪な何かを経験している人が世界にはたくさんいる。


そんなことはわかっている。


でも私も苦しいのだ。壊れた心でぎりぎりの私を生きているのだ。

だから、こう言われるともっと絶望する。



ねぇ、神様。

私は、自分の本音を押し殺して、理由なく溢れそうになる涙を堪えて、気が狂わないうちに死んでしまいたいと思いながら、苦しんで恐怖と孤独と闘うために生まれてきたのでしょうか?


生きる理由なんて、本当は神様にも答えられないほど究極の問いなのかもしれない。

人生には必ず目的があるっていうけれど、そんなの信じられない。


心の傷が深いってことはよくわかったからさ。

どうしたらこの傷を癒せるのかくらい、教えてよ。



誰にも言えない冷たい過去が、鋭い刃となって私の壊れた心の中で暴れている。


寒かったあの日。

まだ人間らしく生きていたあの頃。


私の身に何が起きたのか、もう一度思い出すには勇気がいる。

私はあのとき、確かに何か大切なものを失うのを感じた。幼いながらに。



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