第10話 送迎

裏社会に足を踏み入れたばかりの青年は眼前の光景を疑った。


それは暗殺任務を終えた先輩達を車で迎えに行った時のこと。

赤い口紅が印象的な美しい女の先輩とゴリラのように無骨な男の先輩を指定された公園まで送り届けた後、公園内の公衆トイレに先輩達が消えていったのを怪訝に思った青年は2人が出てくるのをトイレの前で待ち伏せた。

すると、10分程経って女子トイレから地味な女が出てきて「アラ、アンタまだいたの」と声をかけてきた。続けて間もなく男子トイレから美男子が現れ「お疲れ。トイレ?」と声をかけてきた。

その2人の声が先輩のそれだったのだ。


裏社会怖ェ。恐れ慄いた青年は足を洗うことを考えた。

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