第5話 初恋
県議会議員の溝端直子は38歳にして初めて彼氏ができた。相手の名前は副権造(そい ごんぞう)。県内の国立大学に通う21歳の青年。
なかなかの歳の差だが気にする素振りを見せない副に直子はどんどん惹かれていった。
ある日、直子は副とのデート中に複数のヤクザに囲まれた。副に助けを請うた直子だが、副は冷たい目つきで直子を一瞥するとヤクザの集団と言葉を交わし始めた。グルだったようだ。
唖然とする直子の前で、副が仲間からコットンのような物を受け取り顔にこすりつけた。直後、副の甘いマスクが鬼のように厳つい顔に変わった。
「えっ!えっ!マジで!?」
それが直子の最期の言葉だった。
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