殺し屋達のシエスタ

むーこ

第1話 懸賞

「ケーブルの懸賞アンタ当たってたよ」


窓を黒く塗り潰したバンの中。助手席で紫煙を燻らしながら放ったアイリーンの言葉に、ハンドルを切っていた副権造が「マジで?」と大きく目を見開いた。


「どの番組?」


「スキドキ。○○市の。■■市青崎の副さんてアンタでしょ」


「あー俺だ。オーブンが当たったんだ」


思わぬ豪華賞品に今度はアイリーンが目を見開く。しかし副の表情は思わしくない。


「○○市まで取りに行かにゃならんのしんどいなぁ…」


「私が行くから代わりにちょうだい」


「ダメじゃ」


冗談よとアイリーンが笑う。副も一緒に笑う。

車内はトランクにホトケを突っ込んでいるとは想像させない和やかさだった。

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