再戦
2021(万和5)年 1月21日
急ピッチで修理と補給を済ませ出港した実咲達は敵の潜水艦や戦闘機の脅威にさらされながらもなんとかドーバー海峡を抜け、友邦であるデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド等北欧諸国に対する支援の為、更に北上していた。
先行部隊はブリテン島を回り、米軍、加軍と共にアイスランドへ拠点を置いてアイルランド支援に当たっていた。
デンマーク沖 愛宕 CIC
「逆探探知、こちらも敵機編隊の輝点を確認・・・・・・あっ!これは間違いない、あいつです!」
「来たか・・・・・・」
以前クェゼリン沖に現れたそれのデータは情報部より随時送られてきており、現在ではレーダー反射波特性で特定できるようになっていた。
彼我の距離が離れている為か、または武装がないのか分からないがロックオン警報は鳴らず、とりあえず敵と認識する事になっており、すぐさま実咲は対空ミサイルでの撃墜を命じる。あちらがロックできずとも、こちらからはロックできる距離なのだ。
「前甲板ン式対空誘導弾、発射管2番4番6番8番、ッテー!!」
十数機の編隊に対して通常ならオーバーキルとも取れる程のミサイルが愛宕、大淀、利根、羽黒より次々に発射されていく。
だが、それが通常の相手ではない事はこの艦隊の乗員達はよく知っていた。
「実咲、大丈夫なのかな、情報部の話じゃあれは未来の技術なんでしょ、今のミサイルで・・・・・・」
「ン式の弾頭は砲弾並・・・・・・そしてその誘導システムはどんな高機動戦闘機も逃さない!」
実咲が高らかに宣言した通り、レーダーに映るン式が次々に敵機の輝点と重なっていく。が・・・・・・
「ン式はチャフもフレアも対策してあるはず・・・・・・なんで敵機は消えん・・・・・・」
レーダーにはン式と重なった後も艦隊に向かってくる敵機が映り続け、先程のアメリーの言葉が現実味を帯びてきていた。
実咲はそんな化け物のような敵機への次なる対処を脳味噌をフル回転させ考える。
(クェゼリン沖で会った時は武装は見えなかったけど、どこかに隠している事も・・・・・・ん?待てよ、じゃあなんで逆探反応もなく、あんな近接戦闘になるまで撃って来なかった?謎の技術での筑摩透明化と電波障害のみ・・・・・・本当に武装は積んでない?だったらあれらの目的は・・・・・・)
奇しくもそれと似た考えに艦橋にいる司令官、実咲の父親に当たる人物も辿り着いており、艦隊全員に対し命令が告げられる。
「全艦即刻攻撃中止、現在交戦中の新鋭機は敵に非ず、繰り返す・・・・・・」
武装を積まずに来る謎の機。林親子が気付いたその正体は・・・・・・
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