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〈ヒナノ視点〉
午後開始の少し前に借りていた資料を資料室に
戻してくると桜に託けてからフロアを出て
上の階の資料室へと一人で入っていくと
扉を開けた瞬間から既に室内の電気がついていて
誰かが先に中に入っているんだと分かり
少し気を落としながらも返却棚へと歩いた
( ・・・・いない??大丈夫かな? )
いるはずの人の気配を感じず不思議に思いながらも
資料を棚に戻すとポケットからスマホを取り出し
ウサギからのメッセージに返信をしていると…
ケンジ「僕の時もこんな風に返信してたの?」
いきなり聞こえてきた健司の声に驚いて
手からスマホを落としてしまうと
スマホは直ぐ近くに立っていた
健司の足元に落ちている
健司はしゃがんでスマホを拾いあげると
画面を見ていて「返して」と健司の手から
スマホを取り返して数歩下がった
ケンジ「・・・・別れられない?」
「・・・・・・」
ウサギとは契約の付き合いで
あと1ヶ月もしたら自動的に交際は終了する…
約束もあるから私は健司の言う通りに
今すぐに彼とサヨナラするは事出来ない…
・・・いいや、多分したくないんだ…
あと1ヶ月間は彼と一緒に
映画を見たり、食事をしたり…
もう少しだけ…彼と一緒に過ごしたかった…
それに…早めに別れようと言って
彼を悲しませたくはなかった…
少なからず彼は私に懐いてくれているし…
そんなウサギに「サヨナラ」とは言えない…
ケンジ「・・・・そうか…」
「・・・・健司…」
ケンジ「・・・・仕事に戻ろうか?
休憩時間も終わっちゃってるしね?笑」
健司はいつもの様に微笑んでそう言うと
「さっ!出た出た」とさっきまでの
真剣な顔が嘘みたいにジョークめいた口調で
資料室から私を追い出して扉を閉めた…
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