86日目
天使の右腕を噛み付き思い切り歯を立てた生き物の頬を、別の天使の腕が殴りつけてくる。
生れて始めて他の生物に暴力を振るってしまった。
生き物は震えながら腕を解放すると、噛まれた天使は「すまなかった」と謝り、仲間の天使を殴打した。
「こいつは仲間を助けようとしただけだ。馬鹿者め」
「す、すみません」
噛まれた天使に頭を下げる若い天使は、生き物を強く睨みつけ、猫の小屋を蹴った。
「ギャッ」という小さな悲鳴が聞こえる。
「馬鹿者!」
天使の怒号を受けて、若い天使は拗ねたように飛び上がっていった。
「何故貴様たちが仲間なのかは分からないが、互いに思いあっていることは分かった」
天使は、生き物の麻縄を外し、猫の小屋を地上に下ろした。ドラゴンの布を外し、自分の噛まれた腕を見て微笑む。
「突然すまなかった」
天使は生き物の耳の間の毛をわしゃわしゃと撫でた。腕を気にする生き物を制して、「少し話を聞いていきなさい」と語り始めた。
天使に敵意剥き出しの猫を懐にしまって、生き物は長い耳をぴくぴくと動かしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます