69日目

生き物が鼻息荒く説明することを半分も理解しているのかいないのか、猫は眠そうに頷きながら、子ドラゴンの横で丸くなった。

随分と大きくなった子ドラゴンを見て生き物は暖かい目で背中を撫でてやる。

嬉しそうに笑う子ドラゴンは、生き物の言いたいことを理解したらしく、大きく首を振ってその顔をべろりとひと舐めした。

生き物は鼻をひくつかせながら、子ドラゴンに舐められた右顔をぐしぐしと手櫛した。

今日はもう休もうか、と小屋に入る生き物を見送って、子ドラゴンは親である猫を抱きしめるように丸まって寒くないように風を防いだ。

大きく一つ欠伸をして、瞳を閉じるドラゴンを見守って生き物はゆっくりと小屋のドアを閉めた。

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