66日目
泉の畔にバリケードを作った後、生き物は、手持ちの薬の類を全てチェックすることに決めた。
運良くドラゴンは救えたが、犬は見殺しにしてしまった罪悪感でここ数日ろくに眠れていない。
普段は一日の大半を寝て過ごす生き物にとって、ほぼ徹夜に近いこの状況は不思議な物だった。
特段疲れを感じない。アドレナリンが出ているのだろうか?
首を傾げて、生き物は薬を一つ一つ開けて、その欠片を救えなかった鹿の肉の上に落としていく。
硫酸のように焼けただれていくもの、治癒効果が認められるもの、一つ一つ確認してはダメなものをごみ箱にぶち込んでいく。
これで必ずしも大丈夫というわけではない。
自分の体で試した時は問題なかったモノが、他の生き物には問題があるという事実が、生き物の心を絞めつけた。
何が正解で、何が不正解か分からない。
生き物は外を眺めるこのキラキラした世界ももしかしたら自分の目にはそう映っているだけなのではないか?
湧き上がった不安は生き物を飲み込みそうで、手元の珈琲を呷った。
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