35日目
生き物の生活に日常が戻ってきた。
朝、窓をガタガタ揺らすドラゴンの姿はない。
顔を無遠慮に舐める猫もいない。
代わりに真っ赤に実った木の実が、机の上に無造作に置かれていた。
生き物はその実をちぎって口に放り込んだ。
ころころと口の中で転がした後、ぎゅっと歯を立てた。プチッと音がして木の実がはじける。
真っ赤な味が口の中一杯に広がる。
スッと鼻を通る爽快感を感じて、生き物は大きな目をキュッと細めた。
別れは新たな出会いをもたらしてくれる。
美味しい木の実をまた一つ口に放り込んで、生き物の尻尾は揺れていた。
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