33日目

先日から聞こえていた猫の泣き声が徐々に近くなっている。

生き物の頭の中にあった予感は、ほぼ間違いのない確信に変わっていた。

このドラゴンと声の主は恐らく知り合い。

育児放棄された子ドラゴンを猫が匿い、育てているのだろう。


ここまで推理して、生き物は困ったように耳を畳んだ。

猫のところまで届けてやりたいが、距離はまだ遠く、子ドラゴンの耳には届かないぐらいだ。

今、傷が癒えきっていない子ドラゴンを遠くまで運ぶのは危険すぎる。

しかし、声の猫が普通の猫とは限らない。

勘違いされて討伐されてしまったら元も子もない。


困ったなぁと頭を捻る生き物を不思議に思ったのか、ドラゴンの長い舌が生き物体を這った。

吃驚して全身の毛が一気に逆立つ。

ドラゴンはというとなぜ驚かれたのか分かっていないらしい。

グルーミングのつもりだったのだろう。


困ったように首をかしげるドラゴンの頭をぽんぽんと撫でて、生き物は小屋に戻った。

考えるだけ時間の無駄だ。なるようになる。そう考えることにした。

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