4日目
谷の底は今日は雨だった。
ふわふわの毛並みは雨に濡れるとずっしりと重くなってしまう。
こんな日は不幸だろうか?
生き物はそうは思わなかった。
雨は、恵みのものだ。そして音がいい。
谷のあちこちに当たって雨は様々な音色に変わる。
ああ、今は右のくぼみに雨が落ちた音。
今度は、左の茂みに雨が落ちた音だ。
長い耳をぴんと立てて生き物は音を聞き分けていた。
自然が作る壮大な交響曲を聞きながら、生き物は再び布団の中にもぐりこんだ。
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