2日目

その生き物が起きるのは、暖かな朝日が降り注ぐ時間。

柔らかな毛並みを梳かしながら生き物は眠りから目を覚ます。

生き物には名前がない。

ウサギのようでありクマのようであるが、彼らと違って道具を使うことができる。

手を使うということを知っている。

誰に習ったわけではない。生き物はずっと長い間ここで生活し、幸せに生きてきた。


「本当に幸せなの?」


そう、問う友人もいない。君が初めての友人だ。

名前を付けるのも君しかいない。何故なら、生き物には名前がなくても問題がないから。

自分が他と違うことを知らない幸せを生き物は知っている。


君は「どうして?」と思うだろう。


生き物は孤独を知らないからだ。

ただただ毎日を生きるのが幸せだからだ。


今日はフルーツジャムを作ろう。


谷の底の隅っこにある遺跡から生き物は道具を手に入れていた。

鍋を用意して、谷の底に生っている木の実をもぐ。

この木の実はとても甘い。甘い木の実は煮詰めるとジャムになるのだ。

たくさんたくさん鍋の中に入れよう。ゆっくり火をかけていけばジャムができるよ。


生き物は言葉を知らないが、「楽しみだな」と笑った。

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