第10章『俺の召喚獣だけレベルアップする/冴島渉たちの章』

第322話 絶望社会の革命軍

 ----スカレットが広げた災厄が、世界を包んでから1年後。

 世界は、超・格差社会となってしまっていた。


 本人のスペックや気合いなどは関係なく、今の世界はたった1つの法則に支配されていたからである。

 その法則とは、スカレットに従う者か、そうでないか。


 スカレットに従う者であれば、彼らには幸せが訪れる。

 息するように容易く、幸運と富が彼らの物としてやって来る。

 

 逆にスカレットに従わないものであれば、彼らには幸せは決して訪れない。

 どんなに汗水働いて頑張ろうとも、不幸と災厄が訪れる。


 それが故に、この世界はスカレットによって、支配されている。


 この法則を逃れる方法はないが、スカレットに気に入られる方法ならある。

 それが、ダンジョン攻略である。




 スカレットによる災厄は、あくまでもこの世界におけるルールである。

 宇宙にも広がる彼女の災厄も、逆に言えばこの世界でなければ彼女の災厄ルールは適用されない。


 それこそが、この世界ではない異空間、ダンジョン。

 ダンジョン内であれば、彼女の災厄から逃れることができ、絶対的な不運が及ばない中で生活できる。


 そして、ダンジョン内で人々は、夢と希望を持って冒険をしている。


 そう、ダンジョンで強くなって、スカレットに気に入られるような人間になるために行動している。


 昔なら、明るい未来のために夢躍らせる者達が居ただろうが、今の世の中は現状を良き状態に変えるのに精一杯。

 いつ、スカレットに気に入られない存在になってしまうかをビクビクと怯え続け、日々を生活している。


 スカレットを絶対君主とした、彼女による支配社会。

 彼女に歯向かう者が居ればこの世界では災厄が降り続け、ダンジョン内に逃げ込もう者なら彼女の信奉者が排除しに行く。



 そんな歪みに歪んだ社会の中、この世界をなんとかしようとする者達が、ダンジョンの外に居た。


「----さて、どうしましょうか? 主様?」


 ファイントが作り出した、仮初の領域の中で、俺こと冴島渉はどうするべきか思案を巡らせるのであった。

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