第311話 マルガリータVSヘミングウェイ(2)
マルガリータは、自分の力を試していく。
スキル【百頭のドラゴン】を用いて、脳内で
----だがしかし、その全てが失敗していた。
実際に試してみたのだが、それも全て無効化されてしまっている。
「(というか、ヘミングウェイの能力が全く分からないので、正解が全く分からない)」
攻撃を受けたという結果だけは、ドエムであるヘミングウェイが喜んでいるのを見ていると分かる。
しかしながら、攻撃を受けたという感触もなければ、手が何かに当たったという証拠も何一つとしてない。
相手がドエムであるヘミングウェイでなければ、自分の能力がいつの間にか無効にされたと勘違いしてしまっただろう。
分かった事と言えば、攻撃は確実に相手に当たっているが、何故かその過程が何一つ実感できるモノとして残っていない事。
そしてもう1つは、攻撃を受けた時以上にヘミングウェイの体力が回復しているという事。
200のダメージを与えられたとしても、300回復されては意味がない。
一撃で倒せれば理想だが、相手の体力を一撃で削り取れる想像が出来ない。
【もっとぉぉぉぉぉぉぉ!!】
そして、さらにもっと面倒なのは、これである。
攻撃をすればするほど、ヘミングウェイのテンションが上がって行き、さらに多くの攻撃をするように求めるのである。
こちらとしては、どの攻撃が効くか判断するために、多くの攻撃をしている段階だ。
そんな状態なのにも関わらず、ヘミングウェイはさらにもっと攻撃して欲しいなどと、どんどん要求がエスカレートしてくるのだ。
これを厄介と言わずに、なんだというのだ。
「----敵に回るとこんなにも厄介なんですね。ヘミングウェイは」
【もっと! もっと、もっともっとぉぉぉぉぉ!!】
そうこうしているうちにも、テンションが上がり続けるヘミングウェイは攻撃をしてくる。
攻撃をしてくるというか、反撃を受けたいというべきだろうか。
「攻撃を受ける
マルガリータは迫って来るヘミングウェイに、その口に黄金の林檎をねじ込んだ。
【ぐふぅっっ----!!】
----ばたんっ!!
すると、ヘミングウェイはその場で倒れた。
動こうとはしているようだが、全然その場から動けていなかった。
「当然だよね。なにせ、手足だけ長さ1mmという超矮躯ボディにしたんだから」
スキル【黄金の林檎・改】。
それは食べた相手の身体を自由自在に出来る林檎を生み出すスキル。
マルガリータはその林檎を使って、ヘミングウェイの手足を1mmにした。
どれだけ攻撃を受けたいと思おうとも、そんな短すぎる手足では満足に動けないだろう。
「(まぁ、本当は強制変更されている【戦天女ディノ】と【冥界姫ラセツ】を別のモノに変えたかったんだけど、そっちは全然動かないから無理そう)」
本当はそちらの組み合わされている召喚獣の組み合わせをなんとかすれば、彼女を味方に戻して、何とかなるのだと思う。
しかしながら、そちらの方はがっしりとスキルによって固定化されているみたいで、マルガリータに出来たのは手足を短くして動きを封じる事だけ。
「全身を1mmという極小サイズにも出来たけど……」
このレベルにもなると、ただ身体を縮小させた程度では、逆に相手の有利になってしまうから止めておいた。
「さて、あとは可愛いボクのマネージャーが目を覚ますまで、しっかり見張って----」
===== ===== =====
【狂乱武装姫ヘミングウェイ・ヘイル】が 行動不能状態に 陥りました
絶望スカレットのスキル 【
【戦天女ディノ】が 【戦天女アーク】に 強制変更します
これにより 【狂乱武装姫ヘミングウェイ・ヘイル】は 【悪国戦乱姫ヘミングウェイ・アーク】へと 進化します
固有スキル【悪の殿堂】を 獲得しました
これにより 全ての行動に 洗脳効果が付与されます
固有スキル【零の敗北予知】を 獲得しました
これにより 相手の行動を全て 予知し 対処します
固有スキル【戦乱は永遠に】を 獲得しました
これにより 戦闘が続く限り 怪我は一瞬で感知します
===== ===== =====
ゆらりっと、ヘミングウェイは"怪我として認識した手足"を治療して、立ち上がる。
彼女の髪、いやそれどころか全身が影のような漆黒で覆われ、唯一、燃える炎を思わせる赤い瞳が、闇夜に光る明かりのように光り輝いていた。
そして、右腕を鋭く尖った黒い針のように尖らした彼女は、一言、まるで当然のことのように宣言する。
「【排除】」
次の瞬間には、マルガリータはどう攻撃されたのか分からないまま、身体に大きな穴を開けられていたのであった。
(※)【
絶望スカレットの、【パティシエ】の
【敵前調理】という名称ではあるが、基本的には体力などを始めとしたピンチな状況が訪れたと判断された場合に発動し、事前に決めておいたスキルを後から発動する
そもそも"ゲリドンサービス"とは、本場フランス流のサービス。お客様のテーブルまでワゴンを運び、目の前でお料理を切り分け、盛り付け、ソースなどの仕上げを行う、調理場ではなくお客様の目の前の調理で完成する手法のことである
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます