第257話 絶望がやって来た(1)
『『『始末が最優先!』』』
夜魔ヴァンパイア・ポーン達は列を為し、まったく同時の息の合ったタイミングで攻めかかる。
それに対して、雪ん子は剣を握りしめる。
俺が認識できたのは、そこまでだった。
次の瞬間には----夜魔ヴァンパイア・ポーン達は、
吹っ飛ばされ、そして壁にへばり付かされていた。
その身体には剣で斬られたのを証明するかのように、斬撃の跡が刻みつけられていた。
「《ぴぴっ! そんなに強くなかったっぴ!》」
「----まっ、強くないのは嬉しいよね♪ ここ、どこだか分かんないし☆」
「早く、逃げよ☆ 逃げよ☆」と、そう言うのはファイント。
マルガリータとヘミングウェイの2人は、既に別の敵を倒していた。
===== ===== =====
【夜魔ヴァンパイア・ナイト】 ランク;Ⅴ
ドラキュラ城に仕える、吸血鬼の騎士。吸血鬼の兵士の中では騎士として剣を振るう立場の者達ではあり、高い剣術スキルを保有する
味方や相手の上を飛び越える移動スキル【変則飛び】を保有しており、そのスキルを用いてトリッキーな移動攻撃術を得意とする
===== ===== =====
マルガリータ達が倒したのは、馬の顔をした夜魔ヴァンパイア・ナイト。
チェスの"
「マルガリータ、ヘミングウェイ。2人はココアを探してくれ。
【召喚】しても、ココアだけ出てこないということが、何かしらの問題があるということかもしれん」
俺がそう言うと、2人も納得して、そのまま部屋を出ていく。
「行くよ、ヘミングウェイ! ボスの命令通り、妾の姉御を探すよ! 早く探し出して、新曲を披露するために温泉旅館に戻らないとね!」
「あぁ♡ ココア姉上、ピンチじゃないと良いなぁ♡♡ ほんと、良いなぁ♡♡」
----2人とも、真面目にココアを探すのか、若干不安ではあるなぁ。
マルガリータとヘミングウェイの2人が、ココアを探しに行ったのを見計らったかのように、
【ステ、ステ、ステッ! 《ステッキ》小鬼、参上でステッキ!】
敵として現れた、頭が水晶玉となっている《ステッキ》小鬼。
その《ステッキ》小鬼は、両腕がステッキになっているという特徴的な姿をした小鬼は登場する。
「----はいっ、【王城キャノン】♪」
と、そんな小鬼に、ファイントは容赦なく、新たな職業たる【王城】の能力を行使する。
ファイントの前に、白く光り輝く塔が現れ、その塔の砲台から強烈な光が放たれる。
放たれた光は、《ステッキ》小鬼を吹き飛ばした。
「どんな能力か分かんないなら、やっぱり初手で吹っ飛ばすのが一番速いよね☆」
「《ぴぴっ!! 同意っ!》」
と、それに続くかのように、雪ん子が炎を放って攻撃する。
そしてその攻撃は、《ステッキ》小鬼の後ろに居た2人の敵へ襲い掛かる。
『『ハイジョっ?!』』
その敵は、2体の夜魔ヴァンパイア・ポーン。
夜魔ヴァンパイア・ポーン達は、雪ん子の放つ炎に焼け焦がされ、そのまま前のめりで倒れる。
いや、夜魔ヴァンパイア・ポーン達は既に死んでいた。
雪ん子の炎が当たる前に、その人物によって殺されて、死体となった状態で、壁として利用されていた。
そして用済みとばかりに倒されて、その後ろからそれをやった該当の人物が現れる。
【ふふんっ! やはり肉壁は必要だったでペンライト!】
「ですねぇ。もう少しいても良かったかもしれません」
と、前のめりで
七色に光るペンライト頭の小鬼と、シルクハットを被った紅色髪のペストマスク婦人。
「ペンライトの頭……もしや、昨日に赤坂さんが言ってた小鬼?!」
と、俺の頭に浮かぶのは、【三大堕落】の赤坂帆波さんが教えてくれた、《ペンライト》小鬼。
俺達の試験官でもあったビーワンちゃんが召喚したものの、行方不明になっていると言っていた敵----それがなんで、ここに?
そして、あのペストマスク婦人。
ペストマスクというと、ファイントの融合素材となってくれたエリカを思い出すが、果たしてこのご婦人はなんでペストマスクを被ってるんだろう?
「でもって、あの2人が本命の敵、と言う感じか」
どうやら先の夜魔ヴァンパイア・ポーンはただの肉壁要員だったらしく、2人の新たな敵の後ろからさらに数十体の夜魔ヴァンパイア・ポーン達が現れる。
それを率いるのは《ペンライト》小鬼と、謎のご婦人。
……うん、いきなり知らない場所で目覚めて困惑するよりかは、よっぽど分かりやすい状況だ。
つまりは、この2人が、俺達の敵、って訳だな。
そして《ペンライト》小鬼は、ペンライトとなってる指を雪ん子達に向けていた。
【スキル【推し幸せ光線】でペンライト!】
雪ん子達が対処する間もなく、《ペンライト》小鬼の光は、俺の召喚獣である雪ん子とファイントにぶつかる。
----というか、俺の見間違えではなければ、2人とも、自ら当たりに行ってないかな?
「うっ……!!」
そして、光線に当たった影響からか、ファイントの隣に、可愛らしい女の子が現れていた。
白銀色の髪のその女の子は、どことなくファイントに良く似ており、どことなくつまらなさそうな顔をしていた。
「……面白いことない、"ママ"?」
「あぅ……?!」
子供の言葉に、ガクリッとその場で倒れるファイント。
どことなく、嬉しそうな顔をしているようにも見える。
「こども、良いわぁ……」
どことなく、ご満悦な表情を浮かべるファイント。
【推しが幸せそうで、小鬼としては嬉しすぎるでペンライト!】
「《ぴぴっ?》」
ファイントの様子を見て嬉しがる《ペンライト》小鬼、そして何も起こらない事に不満気な雪ん子。
【あぁ、そこの白い雪の子。あなたは子供であり、早すぎる出産は身体に悪影響を与えるから、子供は失くしておいたでペンライト!
……ふっ、推しの幸せを完璧に考える、最高な私!】
「《ふんっ!!》」
不満気に、《ペンライト》小鬼を吹っ飛ばす、雪ん子。
そして、先程の《ステッキ》小鬼のように、華麗に吹っ飛ばされていく。
----いや、本当に何がしたいの、こいつらは?
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