第182話 まさしく"ちいと"な佐鳥愛理
「【黒化編成:黒影→蝙蝠】! 相手の首を
佐鳥愛理は自身の影から、無限に真っ黒な影の蝙蝠の軍団を生み出していく。
その蝙蝠達はクルクルと回転しながら、ココア姉妹に向かって来る。
「いっ、くぞぉぉぉぉぉぉ!」
マルガリータはそんな蝙蝠軍団に対して、真っ向から突っ込んで行く。
手にしている杖に、魔力を込めて魔法を構成しているようだが、防御用ではなく、攻撃用の魔法を構成しているだろう事は想像がついた。
「この蝙蝠達、意外と攻撃力高めだよ~? 防がなくて良いのかな~?」
「防ぐのは
ココアはそう言って、バトルフィールド全体を、光属性の魔法で包み込んでいた。
光属性の魔法は、影の蝙蝠達を照らして、そのまま"蝙蝠達を消していく"。
「多くの作品がそうであるように、影は光によって消える! 妾の光によって、お主の闇は消させてもらおう!」
「----そして、可愛いボクが攻撃する! 【アイドル杖術】、そして新スキル【S級体術】!」
影の蝙蝠達はココアの魔法の光によって消え失せ、主力となっている影を消したことで無防備になってしまっている佐鳥愛理に杖を突き立てる。
【アイドル杖術】の効果により、キラキラとしたエフェクトが飛び散る杖を、後衛向きと言われる【マナ】系統職業のマルガリータとは思えないほどの、効力な突きが放たれる。
----しかし、その突きは、佐鳥愛理の前の空気に阻まれていた。
「職業スキル【金庫破り】。私の目の前の空間を、金庫にしました」
クルクルと、佐鳥愛理の目の前の空間が回り、マルガリータが突いた杖を防いでいた。
「空気が、硬い壁になって、可愛いボクの攻撃が防がれたです?!」
「これは壁ではないですよ、金庫です。壁はただの壁でしかありませんが、金庫は貴重な物を敵から守るモノ……故にあなたの攻撃を防ぎつつ----」
佐鳥愛理はそう言いながら、口を大きく開ける。
そこには、レーザーを放つレーザー砲が現れていた。
そして、レーザー砲の砲身が光り輝くと共に、マルガリータの肩をレーザーが貫いていた。
「~~~っ!」
「貴重な物である私は、普通に攻撃が出来るという。どうですか、この人体改造によって取り付けたレーザー光線の味は? 影を光で消されようとも、私にはまだ色々な攻撃手段があるという事ですよ」
レーザーに肩を貫かれたマルガリータは、痛みで地面を転がりながら、絶叫する。
その絶叫が【悪癖音波】のスキルによって、災厄と言う形で具現化するのを避けつつ、ココアはマルガリータの傍へと近付く。
「リタ! 痛みで我を忘れてるのは分かるが、悲鳴は止めよ! スキルが暴走して、攻撃となっておる!」
「~~~~!! だっ、だいじょうぶです、妾の姉御っ!」
マルガリータは我を取り戻したようで、ココアに支えながら立ち上がる。
その立ち上がった姿を見て、口を閉じてレーザー砲をしまった佐鳥愛理は感心していた。
「レーザー光線、普通に強めに打ったはずなのに……大丈夫だなんて、流石はドラゴンの身体。頑丈さが桁違い、ですね?」
ガチャンガチャンっと、佐鳥愛理の身体が変形していく。
大きく開けた口からは先程のレーザー砲、両脚からは高速で回転する車輪、そして背中からは空を飛ぶためのジェットパックを背負っていた。
----とてもじゃないが、怪盗とは思えない姿であった。
「時代遅れな【怪盗】の恰好を、少しでも近代的にするための機械兵装。
----さぁ、全てを放って、反抗的なあなた達に
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
佐鳥愛理の、機械兵装攻撃は続く。
両脚の車輪を回転させて移動し続け、時折ジェットパックを用いて空中を舞う。
そして、レーザー砲から光線を放って、攻撃してくる。
「もうっ! ここは、可愛いボクの歌声で! ~~~♪」
「リタよ! 頼むのじゃ! 妾は光属性の魔法で、"あたっく"するのに精一杯なのじゃよ!」
マルガリータは【悪癖音波】でレーザー光線を相殺しつつ、ココアは光属性の魔法を続けていた。
ココアは、佐鳥愛理の闇攻撃をさせないように、光を放ち続けなければならないため、攻撃する余裕がなかった。
「(本当は、リタと共に攻撃したいのじゃが、一瞬でも気を緩めると闇が覆ってしまう。
----むむっ、まるで太陽が空から落ちるのを止めるようじゃ!)」
何故かは分からないが、このダンジョンを覆う夜闇が、どんどん拡大していくようで。
ココアが必死に頑張って光属性の魔法を使い続けなければ、佐鳥愛理が使える夜闇を出してしまうため、攻撃に使える余力がないのである。
「妾の姉御! 相手、めちゃくちゃ強いんですけど!?」
「そうじゃな! あれは"ちいと"って奴じゃな!」
ココアとマルガリータは攻撃しているのだが、圧倒的に相手の方が有利そうだ。
「どうですか、この【文明】担当の佐鳥愛理の力は! ゲームで言えば、隠しボス級の力を持つこの私の力は!」
「ハーハハハハッ!」と、そんな声が聞こえてきそうなくらいな声で、佐鳥愛理は高らかに笑っていた。
「妾の姉御……こうなったらっ!!」
「----?! もしや、あれを使う気か、リタ?!」
ココアの言葉に、マルガリータは頷いていた。
「えぇ、可愛いボクの心を奪ったあの魔法を!
----古代龍魔法を、再現しますっ!」
(※)機械兵装
佐鳥愛理が【
それぞれの評価としては、以下の通り。
"マスター"曰く「おもしろびっくり兵器人間」
シーヴィー曰く「男の夢を結集させた、私ほどでもないけど美人」
ダブルエム曰く「文明さん」
日野シティーミティー曰く「なんか凄いけど、【青春】とは全く関係ないので、本当にどうでも良いとしか思えないので私には聞かないでください。……え? ちゃんとした評価が欲しい? なんでそんな事を決めなくちゃいけないんですか? 私は【青春】とは関係ないことはしたくはない、そういう人間なので(以下略」
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