第141話(真実編) 因縁(1)
~前回までのあらすじ!!~
日野シティーミティーの出した2体目の召喚獣、
"妖怪を基にしている場合、絶対に倒せない"はずの空亡を、四大力【オーバーロード】を手に覚醒した雪ん子は、そのまま四次元の世界での戦いに身を投じる。
一方で、冴島渉とファイントは、物体を基に召喚獣を呼び寄せる【黄金召喚】を用いての、敵と戦う事となっていた。
一方で、日野シティーミティーに心を砕かれたマイマインこと、空海大地は、日野シティーミティーと同じパーティー【三大堕落】のダブルエムから衝撃の真実を告げられた。
なんと、ダブルエムの正体は、【三大堕落】に殺されたと思っていた夕張萃香。
積もる話もあるとのことで、2人はお馴染みのラーメン屋に食べに行くのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ラーメン、良いですね #いただきます」
ダブルエム----もとい、
まず一口、麺を食べて味わい、その後、メンマやチャーシュー、そしてスープを食べて----
「よし、#味変 しましょうか」
----そう言って、彼女は自前の"
「----って、ちょっと待てぇい!!」
バシッと、隣で座って一緒に食べていた空海大地が、そんな偏食まっしぐらなラーメンを食べようとする萃香を止めていた。
「なんです、大地くん? 何故いきなり私の#ベストマッチ #味噌ラーメン を取り上げるのです?」
「普通、入れないだろう?! ラーメンの中に、福神漬けは!」
大地がツッコむが、ダブルエムはキョトンとしていた。
「----? はて、#おかしな話 ですね。これは何もおかしな食べ方ではないはずです。
私の"マスター"は仰いました----『カレーはどんな食材にも合う万能の料理、そしてそんなカレーに付き物の福神漬けもまた万能の添え物である』と」
「どんな過激派、福神漬け推しだったんだ、お前の"マスター"は----」
彼女が言う"マスター"とは、赤坂帆波という名前の元勇者。
夕張萃香がラーメン屋に行く道すがら、教えてくれた【三大堕落】のご主人様。
【三大堕落】の4人のメンバーは全員、元々は別の世界の者であり、それを赤坂帆波がこの世界へと連れてきたのである。
「(そして、赤坂帆波は受動的に生きているだけの彼女達に、目的を与えた)」
佐鳥愛理を、【文明】担当に。
シーヴィーを、【甘言】担当に。
そして、日野シティーミティーを、【青春】担当に。
それぞれ自分を甘やかして、良い気持ちに堕落させよと、一筋縄ではいかない目標を、彼女達に科した。
科された目標に対して、4人は自発的に行動するようにした。
全ては"マスター"の命令を完遂し、喜んでもらうために----。
「(それが【三大堕落】、だったか。にしてもその赤坂帆波さんって娘、凄い人だ。
この世界に4人も連れて帰り、さらに受動的に生きるだけだった彼女達に生きる目的を与えるだなんて)」
元勇者である空海大地は、知っている。
自分の責任で、他人の生き死にを決定するかもしれないというリーダー故の
彼が安易に応えてしまった結果、強力すぎる魔物に出くわしてしまい、死んでいった仲間達がいる事を知っている。
自分の責任で、人に生きる目的を与える事がいかに難しいかを知っている。
頑張って励ますも、空海大地のことを信じられず、自ら死を選んだ者達がいる事を知っている。
元勇者として、異世界というこの地球よりも簡単に人が死んでいく世界を旅した者として、空海大地は知っている。
人の行動に責任を持つという事が、いかに難しく、そしてキツイ物なのかを。
「(会いたいな、その赤坂帆波って人に)」
それは恋愛感情とかではなく、あくまでも同じ苦しみを知る元勇者として、そして自分なんかが考えただけでも出来ないと思う事を実行した敬意を表して。
空海大地は、赤坂帆波に会いたかった。
「なぁ、萃香。その赤坂帆波って人物に会えないのか?」
「"マスター"に、ですか? #あなたが?」
「あぁ、話を聞いてると実に良い人物じゃないか。同じ元勇者として、会って見たいんだ」
夕張萃香は福神漬け味噌ラーメン(取ったはずなのに、取り返されていた)を一口食べて、飲み込み、
「----死にたいんですか?」
殺意をビシビシと込めて、空海大地に警告する。
それは【不老不死】を目的とし、日々をゆったり過ごしているはずの
「会えませんよ、我が"マスター"には。もう二度と、どれだけ願ったとしても。
死んじゃいましたから。あなたが【
なにせ、それくらいしっかりと殺したんですから。"
そして夕張萃香は、話し始める。
【三大堕落】の"マスター"である赤坂帆波が、どのようにして空海大地に殺されたのかを。
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