第139話 第2回戦:雪ん子の天敵、空亡(4)
冴島渉は知らない、というよりも消されている。
日野シティーミティーの【旧支配者】のスキル、【リ・セット】のスキルの影響で、全ての人間の記憶が消されているからである。
そもそも、使った本人すら記憶を消されてしまうこの【リ・セット】というスキルになんの意味があるかと言われれば、このスキルの本質が"やり直し"だからである。
----もし仮に、この学校を選んでなくて、別の学校を選んでいたら?
----もし仮に、付き合ってみたら重すぎる女じゃなくて、あの別の女を選んでいたら?
----もし仮に、家を出るのを5分ずらして、事故を回避していたら?
人生とは、そういった『選択』と『後悔』の連続で出来ている。
【リ・セット】のスキルは、そう言った選択の前まで、世界全体を遡らせるスキルである。
使用者本人の記憶まで消すのはそれだけ強力なスキルであるためだが、本質である"やり直し"の所は変わらず、選択の時になると、前に選んだ選択肢を必ず選ばなくなるのだ。
----あの学校を選ぼうとしたら、何故か「行かない方が良い」と思ったり。
----あの娘と付き合おうとしたら、何故か「あの娘、地雷っぽくね?」と勘づいてしまったり。
----家を出ようとしたら、なんだか急に用事が出来て、事故を回避してしまったり。
この【リ・セット】は、そういったスキルなのである。
一方で、冴島渉の【召喚士】のレアスキル、【召喚 レベルアップ可能】のスキルは、経験できないという召喚獣の枷を取り払って、あらゆる出来事を経験するというスキルである。
このスキルの効果によって、召喚獣はあらゆる出来事を経験して、レベルアップするのだ。
そして、【召喚 レベルアップ可能】のスキルの本質、"あらゆる出来事を経験する"ということによって、【リ・セット】の効果を打ち消した。
世界の全てが逆行して、遡るというとんでも事態の中で、雪ん子は【召喚 レベルアップ可能】のスキルの力によって、その事態を全て経験した。
そして、彼女はその強すぎる想いを、情念を、ヒトデのアクセサリーに閉じ込めていたのだ----。
そんな願いがアクセサリーの消失と共に、解き放たれて、雪ん子の身体を包み込む。
『日野シティーミティーを倒したい』という、強い願いを叶えるために、アクセサリーからスキルが具現化していた。
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【アクセサリー:夢を叶えるヒトデ】の 効果を 発動
スキル【
【《悪童ポリアフ》雪ん子|(オーバーロード)】 レベル;Ⅲ+15
個体レベル;15
種族名;雪の女神ポリアフ(←雪ん子)
装備職業;神階英雄【悪魔マクスウェルの】
攻撃力;C+47→S+47
属性攻撃力;C+57→S+57
防御力;C+50→S+50
素早さ;C+48→S+48
賢さ;B+78→(SS)D+8
>>賢さがSSを越えたため、特殊スキル【天災思考】を取得しました
固有スキル;【氷炎の申し子】;全ての攻撃に対し、氷属性と炎属性を付与する。同時に付与する事や、どちらか一方を付与するなど、オンオフも可能となった
;【悪の申し子】;全ての攻撃に対し、悪属性を付与する
;【ハワイアン・ドリーム】;幸運をもたらす力。仲間の攻撃が当たりやすくなり、相手の攻撃が外れやすくなる
;【アクセサリー:家族愛のパームツリー】;付けているヤシの木のアクセサリーによる装備効果。自分が居る限り、召喚士の即死効果を永続で防ぐ
;【炎属性無効化】;炎属性の攻撃を全てゼロにする
:【
後天スキル;【剣技】;剣などの武器を持つ時、強力な技を発動する
;【王剣術・覇】;王族が習う、最強の剣術の1つ。全ての守りを捨てる事で、相手に極大ダメージを与える必殺の剣術を発動できる
;【槍術】;槍や長物などの武器を持つ時、強力な技を発動する
;【神属性付与】;全ての攻撃に神属性を付与する。神属性とは、周囲の魔力を集めて攻撃力を上げる特殊属性である
;【オーラ制御(中)】;オーラの力を身体の一部に溜めるなど制御するスキル。オーラを使う際、補正効果が発生します
;【嗜虐性】;相手を痛がらせるほど、ステータスが上昇する
;【殺意の目】;敵の弱点を瞬時に見抜くが、殺人衝動が起きるようになる
;【サーチ&スラッシュ】;範囲内に敵がいればいるほど、攻撃力と殺人衝動が上昇する
;【忠実なる奴隷】;主に逆らわなくなる。また、主の命令を受けると戦闘能力が上昇する
;【ステータス表示偽装】;装備アイテム効果。ステータスの一部を鑑定不能にし、このスキルの存在を相手から見えなくする。現在適用;《悪の手先》、《悪の剣士》、《ネットショッピング》
;【王家の瞳】;装備アイテム効果。隠し通路を見つけやすくなります
;【慕われし王】;装備アイテム効果。パーティーに居る同族の数だけ戦闘能力が上昇します 該当同族;【悪属性】、【氷属性】、【炎属性】、【精霊族】のいずれか
;【ネットショッピング】;金銭やそれに類する貴重品を消費して、ダンジョン内からでも物を買うことが出来るスキル。また、物を売って金銭を得る事も可能である
;【独断専行】(NEW!!);ダンジョンの魔力の影響を受けない。暑さや寒さなどの影響を受けず、ダンジョン内の魔力に関わらず、スキルを発動できる
;【天災思考】(NEW!!);全ての攻撃力が倍になる
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圧倒的すぎる、四大力【オーバーロード】を手に入れた成長。
雪ん子はステータスだけでなく、身体そのものも成長しているようであった。
今までは中学生くらいの体格ではあったが、高校生くらいの姿に。
蒼炎が描かれた黒い着物を着た雪ん子の腕と脚は、青白い炎に包み込まれて長い手足となっており、頭には青い炎で出来た悪魔の角が伸びていた。
そして、豊かに実った胸を見せつけつつ、蒼炎のみで出来た双剣を構えていた。
「《----殺すっ》」
ただ端的に、そう口にした雪ん子は剣を振るう。
剣を振るうと共に、1000を越すほどの蒼炎に纏われた斬撃の軌跡が、宙に刻み込まれていた。
数多もの斬撃が、空亡へと襲い掛かる。
「ガハッ……?!」
四大力【オーバーロード】を手にした雪ん子の斬撃は、空亡の身体を直撃する。
空亡の【百鬼夜行の王】というスキルは、妖怪を基にしていたはずの雪ん子に干渉して----蒼炎の斬撃の軌跡はその程度のスキルでは止まらなかった。
妖怪では決して勝てないはずの、空亡。
しかしながら、四大力【オーバーロード】はそんな原理すら破壊して、空亡を打ち倒していたのであった。
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召喚獣対決3回戦 二回戦
勝者;冴島渉陣営 【《悪童ポリアフ》雪ん子|(オーバーロード)】
敗者;日野シティーミティー陣営 【
冴島渉 1勝1敗
四大力【オーバーロード】 取得
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