第138話 第2回戦:雪ん子の天敵、空亡(3)

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 【シンデレラ】 オーラ系統職業

 意地悪な姉達の虐めにも負けず、己を信じて幸福を掴み取った美少女(※超重要!!)の力を模した職業ジョブ。この職業になった者は華麗なる乙女による、踊るような戦いを会得する

 絶対に破壊されない銀の靴を用いて、バレエのような踊るような蹴り技で相手を翻弄する。また、自分以外の可愛い女の子を「自分を陥れようとする悪い姉」と定義して、ちょっと緩めの天罰を与える

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 これが空亡そらなきが装備している職業ジョブ、【シンデレラ】である。

 いきなり雪ん子の頭にタライが落ちて来たり、バナナの皮によって転んでしまったりなどは、この【シンデレラ】の"ちょっと緩めの天罰"なのである。

 ちょっと緩めの天罰というか、少し笑える程度のギャグ的なお茶目系嫌がらせというか。


 この【シンデレラ】という職業ジョブは、【剣士】である雪ん子とは相性が悪い。

 この天罰は空亡の意思とかはまるで関係なく、ちょっと集中できなくなる程度の、ほんの些細な天罰を与える。

 ほんの些細な天罰でも、集中しようとしている時に風にあおられたビニール袋が顔に張り付いて来たり、避けようと横に移動し合瞬間、足が滑って捻挫させたりなど、とにかくイラっとさせてくるのである。


 そして、そんな空亡の"ちょっと緩めの天罰"という形の嫌がらせを、10分ばかり受け続けた結果----


「《コロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロスコロス殺スコロス殺スコロス----》」


 ----だいぶ、出来上がっていた。


 頭にシャンプーハットを被り、両足がバケツに突っ込んでおり、黒いマントには大量の生ごみが引っ付きまくっていた。

 その他にも色々と、少し笑える程度の嫌がらせの跡があったが、ともかく今の雪ん子はかなりイラついていた。


 雪ん子の纏う、【オーバーロード】の証明たる青い炎がどんどん激しく燃え上がっていた。

 彼女の怒りに呼応するように、どんどん青い炎がメラメラと燃え上がっていく。


 空亡はと言うと、雪ん子の攻撃を受けて徐々に傷を受けつつあった。

 今はまだ【百鬼夜行の王】がスキルとして機能しており、ダメージは小さく抑えられつつも、段々と傷は増えていた。


 


「ともあれ、そろそろ決着はつくで、きぁらん☆」


 事態は、空亡の勝利に近付いている。

 【百鬼夜行の王】のスキルを用いて、自分の怪我を近くに居る妖怪の生命力を強制的に吸い取るという荒技を使って、回復と同時に相手の体力を削っているからだ。

 雪ん子は自ら空亡を傷つけ、自らその傷を自分の生命力を削って回復させているのだ。


 既に雪ん子の身体は半分ばかり消えかかっており、あと一歩やれば【送還】して消えるだろう。


「(ごめんなさい、あるじぃ。空ちゃんは頑張ったけど、あるじぃの望みは叶いそうにないです)」


 まぁ、もっとも召喚主の望み----雪ん子に【オーバーロード】の力を習得させることと言うのは、あくまでも願望だ。

 出来れば良いなくらいの望みだったため、叶わないのもまた良しだろう。


「(そもそも、敵の癖にあるじぃに期待されてるだなんて、生意気なんですから)」


 空亡は足に力を込めて、一気に勝負をつけるつもりだった。


「《ぴぴぃぃぃっ!!》」


 その雪ん子の手が、いきなりぐにゃりと曲がって、彼女が髪留めとしてつけているヒトデのアクセサリーをぶっ壊した・・・・・のであった。

 空亡はとち狂って訳が分からない事でもしたのかと思っていたが、実際にこれは彼女、雪ん子にも訳が分からなかった。


 なにせ、壊したのは雪ん子でも、そう決めたのは冴島渉。

 渉は【イメージ召喚】でつけた手袋の星に力を込め、雪ん子の身体を一時的に操ってアクセサリーを破壊したのである。


 そして、アクセサリーが破壊されたことで、雪ん子のスキルが発動した。



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 ヒトデのアクセサリーが 破壊されました

 スキル【アクセサリー:夢を叶えるヒトデ】の 効果を 発動


 アクセサリー消失に伴い スキルを 獲得します

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 そう、冴島渉がアクセサリーを強引に壊した理由が、このスキルである。

 【アクセサリー:夢を叶えるヒトデ】は願っていた夢を叶えるスキルを、自動的に取得するというスキルではあるのだが、そのためにはアクセサリーが消失しなければならない。

 今のままでは勝てないと判断した渉は、アクセサリーを壊すことで、新しいスキルを取得することにかけたのだ。


 もっとも、アクセサリーに込められていた【願っていた夢】と言うのが、なんなのかは渉は知らない。

 もし仮に、雪ん子が願っていた夢の内容次第では、この状況を打破できるかもしれないが、そうでなければただ破壊しただけで終わるだろう。


 せめて、良い事が起きますように。


 冴島渉がそう思っていると、壊れたヒトデのアクセサリーの破片から、白い煙のような物が立ち上る。

 そして、その煙は女性の、雪ん子の姿へと変わっていき、ゆっくりと口を開く。



『日野シティーミティーを倒したい』

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