第121話 【ダンジョン研修】と【魔族】(1)
----【ダンジョン研修】10日目。
俺は《三日月の塔》のボス魔物の1体、【夜明けの三月】と戦っていた。
「喰らってみなさい☆ 『ばっきゅぅぅぅぅん♪』」
悪癖龍マルガリータが杖を構えると、そこから『ばっきゅぅぅぅぅん♪』という、なんとも気の抜けた文字が具現化され、放たれる。
クルクル回転しながら、『ばっきゅぅぅぅん♪』という文字は、【夜明けの三月】の硬そうな銅像の身体をぶち抜いていた。
『----グォォォォンンンン!!』
大きな雄たけびと共に、《三日月の塔》のボスの1人、【夜明けの三月】が前のめりで倒れていく。
白目を向いたまま、巨躯の緑色の銅像型の魔物ボスは、そのまま倒れ、ゆっくりと消えて行った。
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Cランクダンジョン《三日月の塔》のボス魔物 【夜明けの三月】を倒しました
確定ドロップとして 魔石(中)が ドロップします
条件達成ドロップとして 三日月の証(陸)が ドロップします
【ダンジョン研修】中につき 討伐ポイント 100ptを 入手します
現在の【ダンジョン研修】実績;
ボス討伐数 = 16体
討伐ポイント = 6752pt
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「これで4体目か……」
とりあえず、【召喚士】レベルⅣになるための条件----"【ボス討伐数が15体以上19体以下】かつ【討伐ポイント総数2000pt以上】"はクリアできた。
【召喚士】のレベルⅤになるためには、あと、およそ4000ptくらいだろうか。
【夜明けの三月】がこれくらいの強さならば、うちのパーティーなら楽勝だな。
なにせ、マルガリータ1人の攻撃で倒せるくらいなのだから。
「いっぇーい☆ リタちゃん、大勝利ぃぃぃぃ!! ねぇ、ボス! ボクって凄い? ボクって可愛い?」
「凄い、とは思うぞ。うん」
本当に凄いとは感じるのだが、それと可愛いと思うかどうかは、また別の問題ではないのだろうか……?
俺はそう思うのだが、マルガリータは俺の反応がどうにも気に食わなかったらしく、頬を「ぷくぅー」と膨らませながら、後ろで見ていたココアの方に駆け寄っていた。
「妾の姉御ぉ~! ボスが、ボスが可愛くないって~!」
「おぉ、そうかそうか。リタはこんなに可愛いのにのぉ」
よしよーしと、孫を可愛がるお祖母ちゃんかってくらいに、めちゃくちゃ嬉しそうに可愛がるココア。
なんか、普通に過剰すぎると思うのだが。
なにせ、ココアが彼女の頭を撫でまくったせいで、リタの綺麗な銀髪から煙が上がっているからだ。
ぶっちゃけ、撫ですぎたことによる、完封摩擦による発火現象----とでも言うべきか、これは。
「おー、よしよし!! リタは可愛いのじゃ~」
「ふふんっ! そうです、ボクはめちゃくちゃ可愛い……って、姉御? なんか頭が熱いんですけど?」
「よしよし、よーし!」
「なんか焦げくさ……これ、燃えてるですよね?! 絶対、燃えてるですよね! ぼっ、ボス! 速く火を消して欲しいのですよ!!」
……うん、頑張れ。
俺は、頭を撫で撫でするだけで、人の頭を発火させる狐吸血鬼の止め方なんて知らないから、後はなんとかしといてくれたまえ。
「(でもまぁ、本当にそんなに強くなくてよかったよ)」
ぶっちゃけ、今回の【ダンジョン研修】は簡単、だと言えよう。
なにせ、隠しボスを除けば1番強いとされる【夜明けの三月】と呼ばれるボス魔物を、うちのレベルアップ可能召喚獣1体で、倒せるのだから。
今、俺達が倒したボス魔物はこんな感じだ。
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【ただいまのボス研修討伐記録】
・月面切断兵器【カットムーン】×2 討伐ポイント=1pt×2
……ボスの間の中心で、ただカッターを放つだけのボス魔物。正直、カッターは速いが、切れ味はそんなに良くない印象
・月鯰【ムーンキャットフィッシュ】×3 討伐ポイント=50pt×3
……水中の中から、電撃攻撃を放つ鯰型のボス魔物。水中という優位性はあるけれども、それ以外はカットムーンとさほど変わらない強さ
・月猛牛【オックス・サンフレア】×3 討伐ポイント=200pt×3
……業火を自在に扱う、巨躯の猛牛型のボス魔物。炎が燃え続ける限り死ななないが、うちの雪ん子との相性は最悪だった
・月世界破壊神【ル・ナパーム】×4 討伐ポイント=500pt×4
……神を模した彫像に生命が宿って動き出した、女神像のボス魔物。普通に強いタイプではあるが、俺らの召喚獣の方が普通に強い
・三月の使徒【夜明けの三月】×4 討伐ポイント=1000pt×4
……ル・ナパームの黒い版といった、黒い女神像のボス魔物。ル・ナパームと同じく普通に強いタイプではあるが、やはり俺らの召喚獣の方がやっぱり強い
===== ===== =====
----うん、こんな感じだろうか。
正直、本当にこれで、【召喚士】のレベルを2つも上げてレベルⅤになんて、簡単すぎじゃないだろうか?
あと、20日の間に【夜明けの三月】を4体倒すだけでオーケーだなんて、本当に簡単だね。
「(これはアレだな。7体目の特殊ボスを倒して、特殊スキルを狙うべきだな)」
その特殊ボスに挑む方法は、なんとなく察しがついている。
それは、ボスを倒した際に入手した【三日月の証】というもの。
今、俺は合計で6枚の、【三日月の証】を入手している。
【カットムーン】から手に入れた、【三日月の証・壱】が1枚。
【オックス・サンフレア】から手に入れた、【三日月の証・肆】が2枚。
【ル・ナパーム】から手に入れた、【三日月の証・伍】が1枚。
【夜明けの三月】から手に入れた、【三日月の証・陸】が2枚。
【三日月の証・壱】だとか、【三日月の証・伍】だとかあるし、恐らくは全部で6種類ある代物なのだろう。
これを6種類全部集める、とかが特殊ボスのところに向かう条件なのだろう。
「倒したら必ずドロップする類の物ではないよな。何かしらの条件を達成できてたら、出てくるという感じだろうか」
【ムーンキャットフィッシュ】は、3体も倒しているのに1枚も出てないしな。
それにさっき、【夜明けの三月】を倒した際、【条件達成ドロップ】とか書かれていたし、恐らくは何かしらの条件があるのだろう。
どういう条件なのかは、分かんないけど。
「これは一応、試験扱いだから、情報屋も教えてくれないしな」
とりあえず、まだ倒していないボス魔物、氷月の鬼【
「----景気が良さそうですね。その景気、是非ともこの私にくださいな」
特殊ボスのために、色々と考え込む俺のところに、青い肌の女冒険者がそう声をかけてきた。
「初めまして、私----【魔族】の油留木和花と申します。
早速でなんですが、
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