第41.5話(特別編) 僕の召喚獣だけレベルアップする

 とある偉大なる論理学者は、自身の得意分野である論理を活かした、遊び心ある、とある作品を書きあげた。

 

 「ウサギは亀である。亀は卵を産めない。よって、ウサギは卵を産めない」。

 2つの前提が間違っているのに、結論だけは正しい、でたらめな三段論法。


 「お前達の首ははねられるべきだ。だから、はねられなければならない」。

 理由と結論が同じの、循環論法。


 「不思議の国では"皆がしていることはしてはいけない"という法案を、皆が従ってしている」。

 “みんながそうしているから、あなたもそうしなければいけない”という、横並び論法。


 ----論理学者の名前は、ルイス・キャロル。

 ----その作品の名前は、『不思議の国のアリス』。


 その作品は多くの人々の心に影響を与え、いま、その作品を基にしたダンジョンが生まれた。

 ----特殊ダンジョン《不思議のダンジョンのアリス》。


 これは、そんなダンジョンの中に投影された、とある冒険者の活躍を描いたお話である。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 やぁ、"僕"の名前は、冴島渉!

 【召喚士】として活躍する、ごく普通の高校生さっ!


 最初は、召喚獣がレベルアップしないから、はずれ職業として騒がれている【召喚士】になってしまったから、先行きがめちゃくちゃ不安だったんだけど、大丈夫なんだよ!

 情報をお金で買ったりして、召喚獣を大切に、そりゃあもう大切にしてきたんだよ!

 そしたら、そのご褒美なのか、1つのレアスキルをゲットしたんだ!


 とあるダンジョンのドロップアイテムとして手に入れたスキル、召喚獣をレベルアップできるようにする【召喚 レベルアップ可能】。


 レベルアップが出来ない召喚獣を、どこまでも無限にレベルアップさせる、めちゃくちゃレアなスキル。

 俺はこのスキルを、1体の召喚獣に対して使ったんだ。


 雪ん子という、とっても愛らしい召喚獣さ!


 それからは、このめちゃくちゃプリティーで愛らしい雪ん子ちゃんが、レベルアップするのが楽しかったなぁ!

 他の皆は「もっと良いところで戦った方が良いよ?」とか言うんだけれども、僕としては雪ん子ちゃんが傷つく可能性は一切ないようにしたかったんだ!

 それはもう、「最初の草むらでレベルMAXまで育てる」が如く、ね!


 その結果、時間こそかかったんだけど、なんとっ!!

 雪ん子ちゃんを、めちゃくちゃ強い【魔法使い】にすることが出来たんだよ!



「《ピッ! ご主人、敵を倒してきましたよ!》」

「あぁ、ご苦労だな。雪ん子」



 ===== ===== =====

 【雪ん子(救世主)】 レベル;Ⅹ

 雪女や雪男の子供とも言われる、雪の精霊。全身が雪で出来ており、常に世界を一瞬で凍らせる力を持つ

 体力や素早さなどは標準的な人間の子供レベルだが、全ての攻撃に強力な氷属性を付与する

 世界に蔓延る悪の魔王を倒すことで、救世主としてなった



 【雪ん子(救世主)】 レベル;Ⅹ+9999

 個体レベル;9999

 装備職業;魔法使い

 攻撃力;SSS+9999

 属性攻撃力;SSS+9999

 防御力;SSS+9999

 素早さ;SSS+9999

 賢さ;SSS+9999


 固有スキル;【氷結の申し子(強力)】;全ての攻撃に対し、強力なる氷属性を付与する

      ;【魔導の極み】;どんな魔法攻撃も使えるようになる


 後天スキル;【魔法】;魔法と呼ばれる技を使えるようになる

      ;【詠唱魔法】;魔法を詠唱することで、魔法の威力が高めることが出来る

      ;【無詠唱】;詠唱の上位互換で、詠唱しなくても威力が変わらなくなる

      ;【無限の姿見】;魔法で自分の分身を生み出す。分身には本体と同じ特性が付与できるが、分身するほどに能力が弱体化する

      ;【救世主】;世界を滅ぼすほどの敵を倒した者が得られるスキル。全ての敵に対して、強力な殲滅力を発揮する

 ===== ===== =====



 これが俺の召喚獣、雪ん子ちゃんだ!

 めちゃくちゃ頑張った結果、ここまで育てる事が出来たんだ!


 しかもレベルⅤになったことで得られたスキル、【無限の姿見】によって、雪ん子ちゃん軍団を作れるようになったんだ!

 このスキルを使って生み出した分身は、雪ん子ちゃんよりも遥かに弱い。

 けれども、僕の雪ん子ちゃんと同じく、レベルアップが出来るんだよ!


 レベルアップできる雪ん子ちゃんの分身を、最大限までレベルアップさせた、俺のメチャクチャ強い雪ん子ちゃんの、ハーレムパーティー!

 いや、もう既に王国キングダムと言っても過言ではないだろう。


 最近は、そんな雪ん子ちゃん達の活躍を見るために、ダンジョンにいるようなものだ。

 こうやって、雪ん子ちゃんの分身がカンストしたのを確認したら、新たに雪ん子ちゃんの分身を増やす。


 そういう感じに、毎日のように、雪ん子ちゃんのカンストした分身が増えていく。

 最近では、分身しすぎたせいか、【魔法使い】ではない個体も出てきた。


 それはまるで、突然変異のようだ。

 分身しまくったために生まれた、雪ん子達も、すっごい魅力的なんだよね!


 【竜騎士】として生まれた、熱血で好戦的な、雪ん子。

 【狩人】として生まれた、ストイックで軍人みたいな、雪ん子。

 【ヴァルキリー】として生まれた、ひょうきんで戦大好きな、雪ん子。

 【死霊使い】として生まれた、少し腹黒ながら紳士的な、雪ん子。

 【海賊】として生まれた、俺様兄貴分な将軍タイプの、雪ん子。

 【アイドル】として生まれた、英語交じりで話すアイドル的な、雪ん子。


 このほかにも、様々な雪ん子がどーんどん増えてるんだ。


 さて、なんか今日もダンジョンで悪人がいるらしいんだ!


「雪ん子ちゃん達、ダンジョンで悪い事をしてる人たちを懲らしめに行くぞ!」

「「《はぁぁい!!》」」


 よーし、今日も頑張るよぉ!!

 本当に【召喚士】になれて、良かったなぁ!!




【作者コメント】

 一部の読者が、もっと召喚獣に優しくしてとあまりにもおっしゃるので、それを意識して書いてみました

 でも、多分もう絶対にやらないと思います

 すっげーつまんないんですもん……

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