家に来た兄の友達と…★

青海

お兄ちゃんのお友達はイケメンさん

 「あ、いずみちゃんこんばんは。悪いんだけど今晩泊めてねっ。」


 兄の真実とお友達の透さんが一緒に帰ってくる。


 「ゆっくり…していってくださいっ…。」


 何とかそう伝えて私は部屋に戻った。


 


 今日は真実、お友達と呑みに行ったとお母さんから聞いていた。


 夕飯を食べてお風呂に入って…ちょうど出たところで鉢合わせてしまった…。


 …どうせ透さんに逢えるんならもっと可愛いパジャマ着てればよかった…。


 自分の格好を鏡越しに見る。

 

 普段着のTシャツにハーフパンツ…。


 全然可愛くなんてなかった。


 少しがっかりしながらベッドに寝転がる。



 …時折隣の部屋から透さんの楽しそうな笑い声が聞こえてくる…。


 …透さん、今日も格好良かったな…。


 さっき見たばかりの透さんの笑顔を思い出しながら眠りにつく。






 突然ドサッと隣に誰かが倒れこんでくる。


 マットレスが沈み込んで、肩の辺りに硬い…誰かの頭が当たった。


 「!!っ?」


 びっくりして飛び起きる。


 「んっ…シンジっ…ごめん…。」


 この声は透さん!?


 透さんは酔っているのか寝ぼけてしまったのか分からないがそのまま寝始めてしまった。


 …。


 トイレに行って…部屋間違えちゃったのかな。


 透さんの体温と…寝息…。


 ドキドキしすぎて死んじゃいそうっ…。


 

 薄明りに照らされる透さんの寝顔を眺める。


 …透さんはやっぱり格好いい…でも寝顔は可愛いんだな…。


 満足するまで寝顔を見つめる。


 

 「シンジ…さむい…。」

 

 そう言いながら透さんがくっついてくる。


 …いくら家の中とはいえまだ一月だ。

 

 深夜は家の中でも冷える…。


 そっと透さんに毛布を掛ける。


 

 

 すぐそばで眠り続ける透さん…。


 寝顔を見ているとどうしてもその顔に触りたくなってしまう。


 …寝てる…よね。


 透さんの顔にそっと手を伸ばす。


 少しひんやりしている透さんの唇…。


 いつも優しく笑いかけてくれるその唇にそっと自分の唇を重ねた。


 …。


 …大好きっ。


 

 そっと唇を離す…。


 …透さんとキスしちゃった…。


 眠っている透さんを見つめる…。


 …もう一回だけ…。


 「透さんっ…。」


 思わず透さんの名前を囁いて…キスしようとした。


 

 「シンジ?いや泉ちゃんっ!?」

 

 透さんがふっと目を覚ましてしまう。


 「…!!」


 びっくりして…でも透さんから目が離せなかった。


 超至近距離で見つめ合ってしまう。


 「泉ちゃん…どうしてって!!あ、俺部屋間違えたんだねっ!?」


 部屋を見まわした透さんが真っ赤になりながら起き上がる。



 「本当っごめんっ!!」


 透さんがベッドの上で頭を下げる。


 「透さんっ!」


私はたまらなくなり透さんに抱き着いてベッドに押し倒す。

 

「泉ちゃん!?」


 何か言おうとする透さんの唇にキスをして塞ぐ。


 

 透さんに何度もキスをして…。


 最初は抵抗しようとしていた透さんだったが、ふっと力を抜いて…そっと抱きしめられた。


 私も透さんの首に腕を回して…透さんに抱き着く。





 「はあっ…」


 透さんから離れて下を向く。


 …透さんの顔が見られなかった。


 …思えばお兄ちゃんのお友達に…。


 しかも透さんなら彼女ぐらいいるだろう…。


 それなのに透さんの気持ちも考えないで…。



 「…ごめんなさい…。」


 透さんに謝る…。


 視界が涙で揺れる…。


 


 「泉ちゃんって…ひょっとして俺の事好きでいてくれてる?」

 

 透さんが困った様な声で聞いてくる。


 「ごめんなさい…。ずっと好きで…我慢できなかった…。」


 …涙が零れた…。


 透さんは黙って私の傍で座っている。


 

 ふうっとため息をついた透さん。


 「あのさ…ちょっとだけ…いい?」

 

 顔を上げると透さんが照れたような顔で笑った。


 「俺も前から泉ちゃんの事が好きだったんだ。」

 

 透さんがそっと私の顔に触れて指先で優しく涙を拭ってくれた。


 「泉ちゃんに先に言われちゃって…カッコ悪いんだけど。」


 

 …どうやら真実が私たちをくっつけるために時々透さんを家に呼んでいたらしい…。


 「俺さ、最初に泉ちゃんに会った時からずっと…気になってて、泉ちゃんは可愛いから彼氏いるんだろうって…諦めてたんだ。」


 「同じこと…私も思ってました…。」

 

 それは奇遇だねって透さんが笑った。


 「好きだよ。泉ちゃん。」


 「私も…透さんが大好きっ。」


 どちらからともなく傍によって…もう一度キスした。


 優しく透さんに抱きしめられる。



 …とても幸せな気分だった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る