第06話 薪の初日の夜
「いいですか」
うどん屋から帰宅し、残りの荷解きを終えた夜。パソコンを開いてバイトを探していた俺の前に、真剣な面持ちで
「なんですか」
俺はパソコンを閉じて体の向きを変え、
「まず大前提として、私は
「はい」
「……そして私は女、あなたは男です」
「あ、そうなの」
「ふざけないでください。」
「はい」
話の腰を折られた
「……つまり、私たちは異性です」
俺を睨みつけたまま、
「はっきりいいます。あなたとは寝たくない」
突然のカミングアウト。俺はいまにも吹き出しそうなのを必死に堪えて、ツッコミを入れる。
「なにその急な下ネタ」
「なっ……違う!」
指摘された瞬間、わかりやすく取り乱す
「痛い」
「あなたが変なこと言うからでしょ」
と、先ほどより少し優しめのグーパンチがもう一度俺の肩に飛んできた。
「下ネタじゃありません。純粋な睡眠の話です」
「あ、そっちか」
「そっちです」
言いながら、
「私はロフトで寝る。君、下で寝て」
「異論は?」
「認めません」
と即答する
「なによその手」
「じゃんけんしよ」
「だめ」
「しよ」
「だめ」
「いいじゃん」
「だめ」
「最初はグー、じゃんけん――」
「「――ポン」」
結果、俺はグーを出した。
「っ……」
俺は
「……やっぱりだめ。」
そう言って彼女は、ロフトに自分の寝具をさっさと運び込んでしまった。随分と強引な手段を選択したものだ。
「じゃあ私先にお風呂入るから」
「ロフトも、お風呂も、覗くな、ゼッタイ」
「これ、俺が悪いのか。全部フリっぽく聞こえる」
俺は再びパソコンを開きながらそう呟いた。なんだが
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