第50話Aタクヤは天才兼奇才、ネルは天然兼かわいい、ミトは真面目兼まとめ役。

「なぁ、本当に穂積ちゃんを置いてきて良かったのか?」


出会った頃の様な青く、祭りの時に着る和服みたいな派手な服を着て、顔の横に狐の面を付け、腰にも派手な赤色の双剣を帯刀している生駒に聞いた。

「あぁ。あいつも少し、休めてやらないといけないしな…」


あの後穂積ちゃんは、母親共々、親戚の家に預かってもらうことにしたようだ。

生駒が、「少しの間お別れだ」と言っていた際、穂積ちゃんは泣き叫んで、必死に生駒を食い止めようとしていたが、生駒はそんな穂積ちゃんの方を振り向きもせずに、ここまで来てしまった。

まぁ、別れという物は、長引けば長引くほど、辛くなるものなのだろうか…。


「…」

「それに、この旅は相当危険な物になると思う。俺が生きてきた限りでは、記憶石という言葉は聞いた事が無い。つまりそれだけ高価で、手に入りにくいものなのだろう。」

そう言って右手を前に出し、固く決意したように握る生駒。


俺は今、ネル ミト 俺 生駒の、4人のメンバーで、生駒の母親を助けるためーー記憶石を見つけ出す為に、ボーンの町へと向かっていた。


そしてそんな事を言って深刻そうにしている、生駒の姿を見て。


「ねぇタクヤ。記憶石、作れるんじゃない?」


ネルが、

俺が指輪の力で記憶石を作れるという事を忘れていると勘違いしたのか、心配したように小声で言ってきた。

俺はそのネルの言葉を聞いて、「まぁな」

と見透かしたように言った。


俺は記憶石と言う物を思い出した瞬間、即座に作り出していた。

つまり記憶石を作れるという事は、確認済みである。


俺の予想外の言葉を聞いたネルは、「?! じゃあなんで生駒と旅に出たの?」と、可愛く小首を傾げながら、当然の質問をしてくる。

そんなネルに俺は。


「自分の世界って言うのかな…?」


と、人差し指を立て、イタズラっぽく言った。

そんな意味不明な俺の言葉にネルは、「自分の世界?」と言いながら、先程よりも深く首を傾げる。

そんなネルにミトは、俺とネルのコソコソ話を盗み聞きしていたらしく、話の内容を知った様な口振りで、ネルにこう言った。

「…誰しも息抜きが必要なのじゃよ」

そう言ってミトは、生駒にきずかれないようにする為か、すぐさま俺達から目をそらした。


ミトは頭が良いな。


そんな事を思っていると、ネルは。

「なるほど…」

と、可愛らしく手を顎に当て、目をまん丸くさせて悩んでいた。

はははっ。

ちょっとネルには難しかったよな。


まぁさっきの俺の一言だけで理解出来たミトの方がおかしいのだが…。


俺はそんな事を思いながら、可愛い顔をしかめさせ、必死に理解しようとしているネルの頭を撫でた。


ーー「タクヤタクヤ、どっちの方がかわいい?」


俺は今、記憶石を探す長旅に備え、服などの物を買いに来ていた。

何故俺が職業(指輪)の力を使わないかと言うと、生駒にバレないようにする為である。

今バラして、適当にあしらっても、多分いつかは本当の事がバレる。

そうなると困るので、俺の職業の事は、記憶石が見つかってからにしようと、ネルとミトと約束したのである。


ネルがワンピースの様な服を2つ持ち、俺にどちらの方がいいかを聞いてくる。

ハッキリ言って俺は、女の子の服のセンスとかは分からないのだが…。

そんな事を思いながら、

「なんか地味じゃね?」

と、お世辞なしで答えた。


「…え?」


生駒は俺の言葉を聞いて、驚いた様な顔をしている。


何故だろう?


そんな事を俺が思っていると、ミトが。

「タクヤはああゆう奴だ。分かったらお主も気楽に行くんじゃな」

そう生駒に小声で言うと、ミトは俺に向き直り、「右側の方が良いじゃろ」と、何事も無かったかのように言った。

どうやらミトは生駒の緊張を解こうとしたようだ。

そしてそんなミトの努力も相まってか、生駒は先程よりも少し、顔から緊張の色が消えていた。

そりゃ、さっきあったばかりのやつと一緒に旅をするなんて、緊張するよな…。

そう思いながら俺は改めて、ミトは俺達の中で一番頼りになるという事を実感した。


「ネルはなにを着ても似合うよ」

俺は改めて、ネルに意識を戻す。

「もう!…私はタクヤに選んで欲しかったのに…」

俺が言うと、ネルはシュンと肩を落とし、そんな事を言ってきた。


ふむ。かわいいね。めっちゃ可愛い。


そう思うと俺は、ネルのあざとかわいさに負けたように。

「…分かったよ。じゃあ俺が本気で服を選んでやる!可愛くなくても俺を攻めるんじゃないぞ?」

そう、片目をつむりながら俺はネルに言った。

するとネルは、「ふふ…攻めないよー。タクヤが選んだ物なら私何でもいいもん!」

と言って、笑顔で俺の手を取り、「こっちこっち」と言いながら、店の奥へと入っていった。



ーー「…本当に、君たちの纏う雰囲気はゆったりしていて良い物だな」

そうしんみりと、タクヤとネルが入っていった店の前で言う生駒。

「ふっ…そうじゃろそうじゃろ。私も案外ーーいや、結構今の生活が気に入っておる」

そう私が、鼻を鳴らし、得意げに言うと。

「あぁ、本当に。君達全員凄いよ」

ん?


全員?


「? すごいのはあの2人じゃぞ?」


私はそう思いながら。

まぁ私も、確かに人より強い魔法が使えるかもしれん。

だが、私がどんなに強い魔法を持っていても、タクヤやネルには、敵わない気がする。

そりゃあ実力だけなら勝てるじゃろう。

だが、2人は私に足りないものを、全て持っている気がする。

出会った頃は、私もタクヤやネルの様な人になりたいなと思っていた…。

だが、今はその真逆じゃ。

むしろ私はこのままが良い。

このまま、自分のたりまさない所を、タクヤやネルに補ってもらいたい。

そして願わくば、永遠に、ネルやタクヤ達と楽しく暮らしたい。


私がそんな疑問を口にすると。

「いや、君も凄いよ。」

「…そうかの?まぁ私が居ないとあの二人はまとまらんからの!」

そう私が、自分をーーいや、【私達3人】を自慢するように言うと。

「あぁ。今の君たちは、3人で初めて、真の実力が出せるんだと思う。誰も思いつかない様な発想でチームを導くタクヤ。そのタクヤを支え、強い戦力を持つネル。そして、2人をチームとしてまとめ、中心的な位置にいるミト。俺の未熟な冒険者人生の中でも、君たちのパーティーの絆は完璧で最強だと分かるくらいだよ。本当に…憧れる。」


………なんか…照れるでは無いか!!


生駒のしんみりとした空気に耐えきれず、私は頭の中でそう叫ぶ。

と。


「タクヤタクヤーうふふっどう?どう?可愛い?」

「あぁ!めっちゃ可愛いぞ!さすが俺のセンスだな!」

「もう!タクヤはほとんど選んでないでしょ!!ふざけた服ばかり着させてくるんだから…!」

ぷんすこ!(←かわいい)


どうやら服を調達出来たらしいネルとタクヤが、店の奥から戻ってきた様だ。

戻ってきた2人を確認した私は、照れを隠すように、もはや恒例となっているネルの幸せの愚痴を聞く。

「聞いてよミト!タクヤ酷いんだよ!なんかね、「あ!コレコレ!これはいてご主人様、大好きだにゃんって言って!」っていってボーン爺が使ってた細いロープ見たいなを持ってくるんだよ?酷いよね、言って欲しければ大好きだにゃんなんていくらでも言ってあげるのに…!それにね、まだあるんだよ!

「ネル!これだ!絶対これ似合う!!」って言って、なんか透明な服を着せてくるんだよ!酷いよね!私の裸なんて前にいくらでも見た事あるのに!」

そう言って、可愛く頬を膨らませ、怒ったように言うネル。


うわぁー

相変わらずタクヤは変な奴じゃな。


そのネルの言葉を聞いたタクヤは。

「いいじゃん!俺に選んで欲しいって言って来たのはネルじゃん!というか、【アレら】の何が気に入らなかったんだ?!」

そう言ってタクヤも、ポリポリと頭をかきながらネルに言う。

「恥ずかしいもん!…それに…タクヤ以外の人に…私…自分の裸を見られたくないんだもん…!」

ネルが顔を赤くして言う。

「っっ!はぁ。分かったよ、今度からは真面目に選ぶよ」

そう言って、いつもの様に呆れた会話をするタクヤとネル。

生駒は…。

この中で1番顔を赤く染めていた。

そんな生駒に私は。

ポン

と、生駒の左肩に片手を置き、

「な?…タクヤにはかなわんじゃろ?」

と言った。








あとがき

はい。

あとがきです。

まぁ5話ずつ書いていくと言ってしまっまたので、とりあえず書こうと思います。

あとがきを楽しみにしてくれている人も居るかもしれないし!(←多分居ない)

さて、今回は新しく仲間(仮)に加わった生駒というキャラについて話してみましょうか。


[まずなんで名前が生駒なのかについて]

理由は、俺が好きなアニメに出てきたからです。

少しは自分で考えろとも思いますが、まぁ実際、カタカナの名前のキャラだけでなくて、ちゃんと日本っぽい名前のキャラが欲しかったので、正直パクリとかは思ってません。

(↑パクリだけども)

「ちなみに穂積という名前も同じです」


はい次。



[生駒の家族設定について]

生駒の家族は、生駒(兄)、穂積(妹)、母(病)という感じです。

生駒のお父さんの事は、今後の話しで解明されるかも知れません。(作者が覚えていれば)

まぁもし書くなら、母の様に悲しい感じではなく、強くたくましく書きたいですね。


生駒の母は、物事をすぐ忘れてしまう病気ーーいわゆる【認知症】を患っています。

このストーリーを書くにあたって、認知症というものを少しゴーグルでゴゴッて見たのですが、認知症という物は過酷で辛い物ですね。

まず認知症は、大きく分けて、

「軽度」・「中度」・「重度」に分けられるそうです。

軽度では、物忘れが激しくなったり、料理の味付けが変わるそうです。


中度では、私生活:家事や自分事を上手く出来なくなるそうです。


重度(生駒の母)では、家族の事がわからなくなったり、物や場所、それに排泄の仕方まで忘れてしまうそうです。


生駒の母は重度に当たり、排泄などの事が、自分では出来ません。

そんな母を、生駒は毎日看病をしていたのでしょう。

そんな辛い毎日が続けば、お酒も飲みたくなるものなのでしょうか。

(俺は酒を飲まないので分かりませんが)


さて、くらい話になってしまいましたね。

こういうのは書く気は無かったんですが、認知症という物を話題に、せっかく話を書いたので、この病気を知っとくのも良いかなと思い、この様に書きました。


……………………………………………………


ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!

重い!話の雰囲気が重い!!

耐えられねぇーーーー!!

さて!!

こっからは元気ハツラツオロナミンDで行きます!!


まず、投稿頻度が早く、いちいちうるさい【フォローしている小説が更新されました】っつーメールをもらっているにも関わらず、ずっとフォローして、この作品を読んで下さる皆様、ありがとうございます!!

もう作者は歓喜の極みです。

フォローされましたの通知が来る度に、すれ違う女の人にキモイと思われるくらいにニヤついています。

今後も皆様の期待に答えられる様な作品を書けるように努力したりしなかったりして行きます!

今後とも【寝て起きたらダンジョンだった件】

をよろしくお願い致します!!!!

ひいらぎ



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る