第41話往生際の悪い方ですね。

「えっ…?」


俺は一瞬、何を言われたのか理解出来ずに、無言でその場に立ち尽くす。


「い…いや!嘘じゃありませんよ!」

ようやく受付の人の言葉を理解した俺は、受付の人の言葉を即座に否定する。


「いえ嘘です!だってこの石が光りましたから!!」


そう大声で断言した受付の人は、体の前でガサツに腕を組み、礼儀作法を忘れたような目で俺を睨む。


えぇぇぇぇぇぇ?!

どういう事?! ねぇどういう事?!


俺倒したよな?!ゴブリン10匹倒したよな?!

俺はネルとミトに確認するように、おろおろしながら、後ろにいるネルとミトを交互に見る。

するとネルが助け舟を出してくれる。


「本当だよ!タクヤは嘘を言わないもん!」


おぉネルよ。貴女は女神か。


「そうじゃの。まぁタクヤはほとんど倒しておらんが」


ぐっ…

お前は悪魔だな。

まぁ…間違ってないけど…。

俺は「それは置いといて」と言って誤魔化してから、「な?本当だろ!」と、受付の人に、もう一度言う。


だが。


「口裏を合わせた人の言葉なんて信じられませんよ。それにこの石が光った事が何よりの証拠です。」


俺や仲間の言葉よりも、ちょっと綺麗なだけの石を信じるらしい。

受付の人の言葉にちょっとイラッと来た俺は、「その石にどんな能力があるかは知りませんが、命懸けで戦っている冒険者の言葉を信じないなんて、いくらなんでも酷いと思いますよ!」と、大声で言った。

おっとまずい。つい大声を出してしまった。

俺の大声を聞いた冒険者達が、何事かとザワつき始めている。

俺は少しでも目立たないようにする為、体を小さく縮める。


「往生際の悪い方ですね」


そんな俺の内心を知ってか知らずか、追い打ちをかけるように言ってくる受付の人。


「いいですか?この石は触れた人の嘘を感知すると光るんです。」


「えっ」


「貴方がこの石に触れて宣言した時、この石は光りました。光りましたよね?」


受付の人が語尾を強めて、確認するように俺に繰り返してくる。


「ですので貴方達の受けたクエストの完了は了承されません。よって報酬もでません!」


どういう事だよ!

嘘だって?!

確かにゴブリンを10匹倒したじゃないか!


俺は、確かにゴブリンを10匹倒したかを確認する為、俺がゴブリンを切った回数を記憶の中で計算する。

だがやはり、確かに俺はゴブリンを10匹以上倒している。

何なんだよ。

俺はもう足が限界でそろそろムカつきも限界に達しそうだったので、「はぁ〜」とため息を着いて、その場を立ち去ろうとした。ーー


その時。


「あっ…ちょっと待ってーーキャッ!」


ズゴーン

突然受付の奥から声が聞こえたと思ったら、悲鳴と共に、派手に横転する音が聞こえて来た。




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