第17話なんだか嫌な予感
その後俺は日本刀と化した魔剣を腰にはめ、ネルと一緒にアームを選んでいた。
「コレがドラゴンリスト、こっちが標準のアームリストじゃ」
ジンさんがアームについて説明してくれている。
どうやらアームと言う手にはめるファイター用の武器は、○○○リストと言うらしい。
正直俺は何が違うのかが全然分からないのだが、ネルは紹介されたアームをまじまじと見ているので、違いが分かるのだろう。
「ネル何かいい物はあったか?」
「ん〜〜〜〜〜」
おや、珍しくネルが悩んでいる。
相当迷ってるんだろうな。
そういえば、このアームにも魔剣的な物はあるのだろうか?
俺はそう思い、ジンさんに聞いてみる。
「ジンさんこのアームにも魔剣的な物はあるのか?」
「いや、無い。魔剣と言うのはな、この世界に点在する迷宮ーーダンジョンから取れるんじゃ。ダンジョンと言うのは別名宝箱と言われておってな、ダンジョンの最奥にはレアなものがあると言われておる。それが魔剣かもしれないし、そのほかの物かもしれないんじゃ。だから魔剣と言うのはとても貴重なものなんじゃ。大切にするんじゃぞ」
えっ、そうなのか?
ならこの指輪も【そういうモノ】なのか?!
俺はこの右手にはまっている指輪をジンさんに鑑定してもらったほうが良いと思ったが、さっき会ったばかりの人にあまり手の内を明かすのは宜しくないと思い、その指輪を持っていると言う事実は隠し、再びジンさんに聞いてみる。
「なぁジンさん。指輪的な物も出るのか?」
俺は率直に聞いてみる。
「指輪?そんなものがダンジョンから土出したと言う話は聞いたことがないのぉ」
そうなのか…。
たまたま見つかってないダンジョンだったのだろうか。
まあ良いか。
俺はそう思い、ネルの方を見る。
ネルはさっきからずっと悩んでいる。
そんなに決めきれないのだろうか?
俺はちょっと飽きてきたので、ネルに聞いてみる。
「なんかいいものあった?」
「…分からない」
「へ?」
俺はマヌケな声をだす。
「違いが分かんない」
ーー今俺達は、ジンさんの工房を後にして、またフィスばぁにどこかに連れていかれていた。
ケツが摩擦で痛い。
ネルは貰ったアームを手にはめて、にやけている。
その後ネルは、ジンさんにアームの違いを聞いて、ドラゴンリストを貰った。
ドラゴンの守護と言う秘術が込められていて、風属性の防御壁を発動できるらしい。
こんなに貰っちゃって良いのかと思ったが、「いいからいいから貰ってけ」とジンさんに言われてしまったので、ありがたく貰う事にした。
どうせ武器も買う気だったし、ちょうど良かったかな。
つーか痛い。
何でこのおばさんは俺を引っ張りたがるのだろうか。
俺は抵抗するのを諦め、無言で引きづられていた。
ワハハハ!
フィスばぁは、お得意の喉が渇く笑い方をしながら、何処かへ向かっている。
全然行き先を教えてくれないので、正直怖い。
すると、一軒のちょっと大きめの建物の前で止まった。
「えっ、ここって…」
そこは、俺達が泊まっている宿屋だった。
ワハハハ!
と笑ってまた歩き出す。
今度は何をするのだろうか。
俺は不安になりながら引きづられる。
フィスっばぁは宿には入らず、宿屋横の路地へ入って行く。
ネルは貰ったアームをニコニコと眺めながら、てくてくと着いてきている。
可愛い。
俺がそんな事を思っていると、ふとフィスばぁが止まった。
そこは宿屋の後ろにある小さな家の入口だった。
フィスばぁは、小さい木で出来た扉を開ける。
俺は引きずられたまま、その家に入って行く。
段差が痛い。
中に入ると、そこは木で出来た机が部屋の中心にあり、奥の壁に小窓がある小さい一室だった。
窓と言っても、この家は路地裏にあるので、満足のいく光量は入って来ていない。
もしかして俺達を泊めてくれるのか?!
いや〜でもフィスばぁと一緒にすごすとネルが嫉妬するからな〜どうしよっかなー。
俺はにやけながら思う。
俺はそんな淡い期待とも言える視線でフィスばぁを見る。
俺の視線に気づいたフィスばぁは、ワハハ!
と笑った後、「ここに泊まれるとか考えてるだろ!ワハハハ!そんな訳ないよ!ワハハハ!」そう言って笑った。
ですよねーーー!!
めっちゃ恥ずかしい。
これじゃのネルの言う通り年上好きになってしまうでは無いか!
だが俺にはネルが居るのだ!
そうだそうだ俺はネル一筋なのだ。
俺は1人で恥ずかしさを紛らわす様に納得して、フィスばぁに聞く。
「ここで何を?」
「ん?別にここで何かする訳じゃないよ!ここへは荷物を置きに来ただけだ!ワハハハ!」
そう言えば出会った時、買い物袋を持ってたな。
俺はそんな事を思い出す。
というかそれだけかよ!
俺結構ケツ痛かったんだぞ!
段差の角とか!
俺はそんな事を思いながら言う。
「えーっともう帰っていいですか?」
「なーに言ってんだい本題はこれからだよ!ワハハハ!」
なんだか嫌な予感。
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