第5話俺は運が良い
「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
なんでこういつもいつも追いかけられるんだよー!
全力で叫びながら、本日2度目の全力疾走をする。
ハァハァハァ
「くっ、あいつらさっきのやつと違って速えー!」
まずい!このままだと追い付かれる!
その時。
「えっ」
間抜けな声を出す。
何故だろう?地面が無い。
現実逃避の為に下は絶対に見ない。
少しでも対空時間を稼ぐため、足をばたつかせるが、それも虚しく落下する。
「あ〜れ〜〜」
ドーン
どうやら落下地点が草に覆われていたため助かったようだ。
あのオオカミ達もさすがにここまでは追ってこれないらしい。
わー死んだわーマジ死んだわー穴に落ちるとか終わりだわー一生ここで暮らすんだわー
そんな事を思っていると、右側から光が差し込んでいる事に気がついた。
「!もしかして!!」
そして、光が差し込んでくる方向に走っていく。
さっきとは打って変わって、全力疾走しても全然疲れを感じない。
目の前がパァーッと明るくなる。
「外だーーーー!!」
ダンジョン生活1日ぶりに、外に出れたのである。
外に出るとそこは、豊かな森だった。
羽が4本ある鳥や、角が体の5倍以上の大きさの鹿などが居る。
「うん、異世界だ」
そう言ってニッコリ笑う。
少しだけ散歩してみるか。
そう思い、正面の森へと歩いてゆく。
ザッザッザッ
その森は、幻想的に光が差し込んでいて、木々の葉が、生き生きとしていた。
俺は雨露の付いた葉を弾きながら歩いてゆく。
と、そこでヒラヒラした物を見かけた。
「なんだ?」
なんの生き物だろうと、好奇心丸出しで恐る恐る近ずく。
そしてそのヒラヒラした物の全体像が見えた時、時間が止まったきがした。
「えっ人?」
そこには、地面に倒れている、ボロボロのワンピースを着た少女がいた。
俺は慌てて駆け寄る。
「おい!大丈夫か?!」
「うぅぅ」
少女はうなだれている。
目立った外傷は無いが、すごい熱だ。
「クッソ、おい!しっかりしろ!!」
ダメだ。
クスリを飲ませないと…!
でも薬なんて…。
そう思い立った時、ふと指輪が目に入った。
「コレで作れば…!」
でもそんな繊細なもの作れるか?!
いや、迷ってる場合じゃねーだろ!
「頼む!出て来てくれ…!」
解熱剤を下さい…!
と強く願った。
ウォン
指輪が光り、右手に白い錠剤が現れた。
「よしやったぞ!おい!これを飲め!」
俺は苦しそうな少女を仰向けにしてクスリを飲ませようとする。
「…っ!」
少女を仰向けにしてクスリを飲ませるために顔を見た時、それは目に入った。
赤い瞳に薄オレンジの髪。
そしてその上に、フサフサしていて、黒く、先端が淡いオレンジに染っている。ーー猫耳だった。
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