第3話初めての獲物

「お前しつけーんだよ!」


「ガォォォォォォォォォォォォォォ!!」


どこまででも追いかけてくる。

まずい。

目の前が行き止まりだ。


どうする?!

さっきの水みたいになんか出せないか?!

そうだ落とし穴!

落とし穴はさっき出したことがあるはずだろ!

いや、たまたまあっただけか?!

チクショウ!もういい!


様々な思考が交差する。


「やらなきゃ死ぬんだー」


そう叫びながら「落とし穴が欲しい!」と強く願った。

すると、指輪が淡く光る。


「よし!」


「これで助かっーー」


とそこまで言おうとした時、自分が落とし穴に落ちた。

ドーーーーン

怪物は俺を追いかける勢いのまま、壁にぶつかって気絶している。


そうか…最初の時落とし穴に落ちなかったのは岩を飛び越えたからか…!


「逆に行き止まりで助かった…」


穴の中で尻もちをつきながら言う。


「痛てて…」


腰を抑えながら穴からはい出る。


「この指輪本当にスゲーな…」


なんでも願えば出せるのだろうか。

あの怪物がもっと沢山このダンジョンに居るのだとしたら、武器は必要だ。


「剣か、銃か…」


銃は反動が大きいから、高校生が扱うのは無理だ。

となると刃物系になっては来るが、あんな鉄の塊を振れる様な筋肉がない気がする。


「まぁとりあえず出してみるか」


そう思い、「剣が欲しい!」と強く願ってみる。

しかし、なにも起きなかった。


「あれ?」


もう一度願ってみる。

何も起きない。

何故だろう。

壊れているのかと水も1回出してみたが、水は出た。

するとこの指輪の使用には、何かしらの制限があるらしい。


「デカすぎる物はダメなのかな…」


もし剣がダメなら包丁やナイフ系になって来るが、そんな短い刀身でヤツを倒せる自信が無い。

だが、無いよりはマシだ。

俺は包丁を強く願ってみる。

ピカッ

光の後、包丁が現れた。

なるほど…。

やっぱり小さい物でないと出せないらしい。


「…」


俺は出した包丁を右手で握りながら、気絶している怪物を見る。


「トドメは刺しとかないとな…」


俺はゆっくりと気絶している怪物の前まで近づく。

そして怪物の頭に包丁の先を付け、標準を合わせる。大きく振りかぶり、刺す。


「ごめん!」


グザッ ゴキッ

頭蓋骨を貫通する感触が伝わる。

緑色の血が吹きでる。


「うわ?!」


やっぱり異世界の生き物は地球とは全然違う様だ。


「コイツ食えるかな…」


このダンジョンにある貴重なタンパク源だ。

無駄にはできない。


「うぅ…」


しょうがない、解体するか。

幸い俺は日本で【獣の解体術】と言う本を読んだことがあった。


「そういえば、この指輪でも出せるかな…」


あの本は図鑑並にでかかった気がするから、恐らく出ないだろう…

そう思いながら、ダメ元でやってみた。


「【獣の解体術】をください!」


と、強く願ってみると、指輪がウォンと光り、右手の上に超デカい本が現れた。

指輪が光を失い、浮いていた本が右手に落ちる。

ゴトッ


「うゎ重!」


出た。

大きい物は出ない仕掛けでは無かったのだろうか。


「もしかして…」


そうつぶやき、足元に落ちていた石を触る。


「もしそうなら…」


石を!

強く願った。

すると指輪が光り、先程触った石に瓜二つの石が右手に現れた。

確定だ。

この指輪は、以前に触ったことがある物を作れるんだ。

それなら剣が出なくて包丁が出た事が説明出来る。

落とし穴は俺が小学生の時にほった奴だろう。

(※別にウザかった先生をはめる為に作った訳では無い。)


「スゲー触れた事があるものならなんでも作れるんだ!」


おっと、浮かれていてはいけない。

早くコイツを解体して…ーー

と、そこまで考えた時、ある事を思いついた。


「もしかして、この指輪で食いもんも出せるんじゃね?」

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