寝て起きたらダンジョンだった件

四方川 かなめ

第1話こんなのが異世界転移と言うのだろうか




《平均20点》そう書かれた紙を渡される。


「おいおい低すぎだろ!もう俺ブツを家に隠すスペース無いぞ!」


隠すこと確定な発言をする。


「ブツってやくざじゃないんだから(笑)」


友達の佐々木が俺にツッコむ。

俺は下北高校の村上タクヤ。

2年生だ。

今は期末テストの結果表を受け取っているところだが、その事実を曖昧にしようとしている。


「お前漢字2点しか取れてねーじゃん(笑)カッス」


佐々木が俺のテスト用紙を覗き見ながらいじってくる。


「うっせーよ、漢字なんてなこの世に要らない物なんだよ。いいか?まず漢字を使うことでシャーペンの芯の消費量が増加するんだ!しかもよ、例えば《漢字》っていう字の《漢》は2文字のひらがなからできてる。だが!《字》の方はどうだ?ひらがな1文字じゃねーか!!絶対にじって書いた方が早いだろ!そう思わんかね佐々木君」


俺の熱烈な解説に呆れているのか感心しているのか知らんが、(多分呆れているのだろう)佐々木は苦笑いしながら俺の話を聞いていた。

すると、目の前からでっけぇ声が掛かった。

「タクヤ!お前の熱烈な漢字愛はわかったからちょっと静かにしろ!」

「はい!!」

怒られた。


ーー放課後


「あ〜疲れた。最近の日本人は働きすぎだよな〜」


「お前なぁほとんどの授業寝てるやつがよく言うよ」


いつもの通り軽口を言いながら、佐々木と下校していた。

佐々木とは幼なじみで、親どおしも小学生からの仲である。

たまに喧嘩はするが、まぁそれも可愛いもんだ。


「あっうんこだ」


「ほんとだ」


「人のかな?」


「んな訳ねーだろ」

そんな中学生並の会話をして家に向かって歩く。

いつもそうだ。小学生の時も中学も高校も。

佐々木とふざけた会話をするは楽しい。

それこそどんな漢字を覚えるのよりもね。


「なあタクヤ鈴木奈美って可愛いくね?」


「えー可愛いか?ブスじゃね?」


突然佐々木が、そんな事を言ってきた。

鈴木奈美っていえば、俺のクラスのマドンナ的存在だ。


でも俺のタイプじゃない。


「お前は理想が高すぎるんだよ」


いつもそう言われる。

そんな事はないと思うのだが、出会った人はみんな同じことを言う。


「2次元なら可愛い子もいるんだけどなー」


「ははっお前らしいな」

佐々木が笑いながら言った。

そうこう言っている間に帰り道の分岐点まで来た。


「じゃあな」


「バイバイ」

そう言って、道の分岐点を、それぞれの家の方向へ別れた。


だるいな…帰ったら寝よ


そう思い、帰り道を急ぐ。

フラッ

ふと、目眩がした。


「おっと」


危ない危ない川に落ちるところだったぜ

なんか知らんが疲れている様だ。


「疲れる様な事してないんだけどな」


自分で言っていて恥ずかしくなる発言をする。

数分後。

そうこう言いっていると家に着いた様である。

ガチャっと家の鍵をあけ、中に入る。

玄関にはうちの番犬グラッチェ伊藤が居た。

名前が変なのは気にしないで欲しい。


ワンワンワン


と、吠えて出迎えてくれる。

まぁエサをねだっているだけかもしれんが。

俺はグラッチェの体をサラッとなで、「俺はこれから寝る。あとは頼んだぞ」と、言い残し、半袖Tシャツ長ズボンでベットに寝転ぶ。

ふぅ〜

今日もよく働いた

そんな事は絶対に無い事を思いながら眠りについた。


ーー「んんー」

なんだろう。全然寝付けない気がする

いつもはすぐに寝れるんだけどな。

俺はそんな事を思いながら目を開ける。


「あぁなんだ?床に水なんてこぼしたっけ」


ベットの淵に座り、足を床につけると、なんだか床が濡れていた。

俺は寝起きでぼやける視界を整えながら、電気をつけようとする。

つーか電気なんて消したっけ?まぁいっか

そう思いベットの横のスタンドライトに手を伸ばす。

あれ?スイッチが無い

はぁ〜めんどくせえ

起き上がり、今度は部屋の電気をつけようとする。

ツルん


「痛ってー」


滑った。


「いや、待てなんかおかしい」


さっきからなんだか地面が濡れている。

しかもポタポタと水滴が落ちる音がする。

まるで洞窟のような…って


「これってもしかして…」


いやいやいやいやそんな訳ないよな。

そんな訳……

と、そこまで考えた時後ろにある大きな気配に気がついた。

恐る恐る振り返る…。

そこには忌々しく光る二つの点があった。

光の位置からしてソイツの体高は軽く2mを超えているだろう。

もう確定だ。ここは俺の家では無い。

もっと言うと地球でもない。


「えぇっと、こんにちは」


「ガオオオオォォォォォォォォ!!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

こんなのが転生と言うのだろうか。




────どうもこんにちは、作者です。

この度は「寝て起きたらダンジョンだった件」を読んでくださって、誠にありがとう!

これは作者の願望丸出しの作品なので、正直不安だったのですが、1個でも星がついて良かったです!


感謝感謝



これからもこの作品をよろしくお願いしますね。


宜しかったら四方川 かなめSF代表作「レッドアイツー」もどうぞ。

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