第14話 危険な賭け

 次の日の午後から、こずえとこずえは、近所の公立図書館にきていた。


 梢は、図書館に来るのが今回が初めてだった。


 今まで、いいイメージを抱いていなかったので、正直、行きたいとは思わなかった。だが、自分たち少女の思考では、元の姿に戻れる手がかりを見つけれないと考えたからだった。


 でもやっぱり、予想通り静かで堅苦かたくるしい所で、梢はソワソワした。


 唯一の救いは、図書館内にクーラーが効いていて、涼しかったことくらいだった。


 二人は小声で話し合った。


 「とりあえず、手がかりになりそうな本を探そか。」


 「わかった。」


 梢は、こずえの提案に同意した。


 そうは言ったものの、どこにどんな本があるのか全くわからなかった梢は、図書館内をウロウロし、元の姿に戻るための参考になる本は無いかと、探しているをした。


 しばらくそうしていると、こずえに呼び止められた。


 「なんかいい本あった?」


 「う、ううん。全然見つからんわ。」


 こずえにばかり探させて悪いと思ったが、図書館に初めて来たことを伝えるのが気恥かしかったので、割り切るしかなかった。


 「私、一冊だけ見つけたんやけど・・・・・・。」と、こずえは小さな声で伝えた。


 「ホンマ!」


 梢は驚いて、つい大声を上げてしまった。


 「シーーッ!」


 すぐにこずえは、口の前に指を立て、梢をたしなめた。

 

 「それで、どんな本?」


 梢は小声で尋ねた。


 すると、こずえは梢の手を引き、机へと案内して座らせた。その隣に自分も座った。


 「これやねんけど・・・・・・。」


 こずえに見せられた本は参考書のような厚みはなく、『入れ替わりの真実』とか『体の戻し方』とかいう、いかにもといったようなタイトルをしていない。


 それは、マンガのように薄く、物語を連想させるタイトルだった。


 だから、梢は目を疑った。


 「これ、間違えて持ってきてない?」


 「だって、なんも手がかりないんやもん!」


 梢は、何も言い返せなかった。


 その小説は自分たちのように、登場人物のたましいが入れ替わってしまうが、最終的には元の体に魂がちゃんと戻る展開になっているのだと、こずえは説明した。


 「だから、この小説の通り、試してみいひん[試してみない]?」


 「小説の通りって・・・・・・なにするん?」


 こずえの説明によると、その小説では、魂が入れ替わってしまった原因を再現しているのだという。


 ということは、それをこずえと梢に当てはめると、もう一度、二人は事故を起こさないといけないことになる。


 今回は、大した怪我ではなかったものの、次はどうなるかわからない。


 だが二人とも、ずっとこのままの姿では、生きている心地がしなくて、死んだ方がマシだとすら思うほど、早く自分の姿に戻りたいと切望せつぼうしていた。


 「やるか、やらんか、聞くまでもないよな。」


 「うん!」


 だから二人は、生きるための選択をした。

 


 


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 

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